4月30日(土)

 10:00起床。加藤直輝監督『アブラクサスの祭』(10)。上映前の挨拶にて、この映画は福島で撮影された映画であり、内容はフィクションであるけれども撮影したその瞬間の福島が映っています、と加藤監督。震災後のロケ地周辺を記録した短編を上映後に併映した。今回、震災以前に全体的なプログラムは決定していたようだが、後から追加されたプログラムとして、原発を取り扱った作品『ミツバチの羽音と地球の回転』の鎌仲ひとみ監督の作品も急遽上映されていた。佐藤信介監督『GANTZ』(11)満員で、会場までの階段が混雑で完全に通れなくなっており、立ち見も出ていた。「Hogaholic presents」にて吉田浩太監督『墨田区向島三丁目』(10)、今泉力哉監督『TUESDAY GIRL』(11)、坂井田俊監督『悪魔が来た』(11)。ドイツの観客も日本の観客も基本的には感性のツボは違わないと、ここにきて確信。笑い声などの実際に声に出すリアクションは日本よりはっきりしていると思うが、そのポイントに関しては大きく変わらなかった。昨日の例を挙げるなら、『シロメ』の胡散臭い霊能力者などの日本的だと思われる笑いであっても、反応はあった。上映後に映画祭で知り合った人たちに感想などを聞いても、それは日本で聞くものとまったく違うとは思えなかった。

30分押しで22:30分から拙作『真夜中の羊』(10)、長谷部大輔監督『浮雲』(10)。こんな遅い時間からの上映にも関わらず満員の観客に驚く。舞台挨拶で、しっかりと現地スタッフではないと自己紹介をしてややウケに終わり、すぐに別会場で行われる東京芸大についてのトークイベントへと向かう。ニッポンビジョンズの審査員のひとりのトム・メスと、大橋さんと加藤直輝監督と僕で、東京芸大でのカリキュラムから始まり卒業後の自身の状況などを話す。会場がとにかく暑かった。トークが終わり、上映会場に戻ると、自作の上映は終わっており『浮雲』の上映中だった。スクリーン上で繰り広げられる痴態に「Oh my god……」と会場から声が出て笑った。上映後、Q&A。24:30を過ぎていたこともあり、さすがに帰られた方も多かった。先ほどトークで喋ったような芸大についての質問なども出ていた。ある人に、ドイツ人からするとあなたたちの2作品はどんな意味があるのかよくわからないんですが……と言われ、日本でもしばしば出会う反応に、やはり海外も日本もそんなに反応は変わらないなと再び確信。25:00過ぎにすべて終わる。地下のカラオケはまだ盛り上がっていた。加藤さんが歌う。続いてステージに上がる大橋さんを見てやはりさすがだなと思う。