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January 11, 2004

ラグビー 大学選手権準決勝 早稲田対同志社 関東学院対法政

[ cinema , sports ]

勝敗の行方が決定してから気を抜き法政に反撃を許した関東学院はまだしも、早稲田は法政戦に続いて薄氷の勝利を拾った。38-33。しかも前半は31-14というゲームである。それに一時は31-33と逆転を許した瞬間もあった。トライ数は共に5、ひとつのコンヴァージョンとPGの差で本当にかろうじて早稲田が逃げ切り、17日の決勝戦に臨むことになった。
前半に一時31-7と決定的に差が開いた時期があったがその直後に一気に切り替えされたことが競ったゲームになった原因だろう。だがアルティメイト・クラッシュを繰り返した昨年のチームに比べて今年のチームが危なっかしいのはなぜなのか? メンバーは今年の方が揃っているし、曽我部の怪我でゲーム・プランに狂いが生じているとは言え、大学選手権の今まで5ゲームを通じて立て直すことができない。前回、私は、フランカー陣、SH、そしてセンターが原因であると書いたが、今日のゲームを見る限り、もっとも大きな原因はSHだろう。後藤の判断が遅い。パス・マシーンでよいとも前回書いたが、このゲームを見ても、ますますその確信は強くなった。ターン・オーヴァーも何度かされたが、ボールが見えているのにパスを躊躇する後藤が原因だ。(もちろんそれを同志社のオフサイドだと言えるかも知れないが、一瞬の躊躇で相手に絡まれるのだ。)
今の早稲田に必要なのはボール・ポゼッションだ。それができれば、両センターのタックル力のなさも顕在化しないはずだ。池上も今村もよくタックルに行ってはいるが、相手を仰向けに倒すジャスト・ヒットが少ない。ライン全体──これは太田尾のリードだろうが──が前に出て行くスピードも遅い。
関東学院は大学チームの中で一番安定しているし、力も早稲田よりもずっと上だ。だが、それに勝たないことには、2連覇はない。どうすればいいのか? もう解答は書いたように思う。まずポゼッションを心がけ、そのためには後藤の判断を1秒ずつ速く。もちろん常にポゼッションを続け、ボールのリサイクルを反復できないだろうから、相手ボールになったら、徹底したシャローのディフェンス。抜かれてもいい。カヴァー・ディフェンスよりも一発のヒット。だが、その2点ができても関東学院にはやっとイーヴンだろう。去年のようには勝てない。

梅本洋一