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July 20, 2004

ラグビー トライネイションズ第1戦 オールブラックス対ワラビーズ

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ウェリントンは寒風が吹きすさび、さらに冷たい雨が降りつけている。両チームの選手ともに震えが来ているのは、緊張感のためではなく単に寒さのためだ。こうしたゲームは何よりもミスが命取りだ。案の定、スティーヴン・ラーカムのキックオフは10メートル届かない。センタースクラム。オールブラックス・ボール。ゲーム開始のこのシーンは、このゲームの象徴だった。オールブラックスはボールをキープし続け、ワラビーズは自陣ゴールを背負って常にディフェンス。ほぼ80分間、このシーンの反復だ。ポゼッションでもテリトリーでもオールブラックスの圧勝。だが、最終的なスコアは13-6の僅差。いかにワラビーズのディフェンスがよく、いかにオールブラックスのノックオンが多かったかを物語るこのスコア。
確かにオールブラックスはFWで圧倒し、ゴール前に迫るが、仕留めの瞬間、マーシャルがバックスに展開すると必ずミスが起こる。だがワラビーズも相手ミスにつけ込めるほど、アタックの手がない。グレーガンの欠場のためか?あるいは、FWの完全な劣勢のためか? ディフェンス、そしてカウンターというリズムがまったくない。
一方のオールブラックスはグレアム・ヘンリーを新監督に迎え、まずFWの強化に取り組んでいる最中だと思われる。集散がよい。ボールへの働きかけがよい。だが、もちろんバックスが整備されない限り、ワラビーズのディフェンスを蹴散らすわけには行かない。オールブラックスのラインは浅く狭い。もちろん全体が浅く狭いわけではなく、SOのスペンサー、両センターの間が狭く、両ウィングとFBはやや広めの後方に立っている。したがって、FWがゲインラインを切れなければ、スペンサーはすぐに仰向けに倒される運命にある。だから、一昔前のワラビーズが得意だったこの戦術を選択するなら、FWは絶対的な優位になければならないはずだ。ポゼッション、テリトリーとも大きく上回りながら、大差が付かないのは、まだFWが圧倒することができず、ワラビーズのディフェンスを破れないからだ。
だが後半の後半になると、次第にシュートラックの反復でゲインが切れるようになり、バックラインにも余裕ができはじめる。ゲームが、もっと好条件で行われ、オールブラックスFWがもう少し強ければ、アルティメイト・クラッシュも可能だったかもしれない。この戦術の可否を見るにはもう2〜3ゲーム必要だ。一方のワラビーズは、今のところ、FWの一層の頑張り以外打つ手は見つからない。エディ・ジョーンズはどう立て直してくるのか?

梅本洋一