« previous | メイン | next »

November 25, 2004

大学ラグビー
早稲田対慶応

[ architecture , sports ]

今年は慶応が明治を敗ってここに到達しただけに、もう少しマシなゲームが見られると思ったが、内容もスコアも早稲田の圧勝。73-17というスコアも11-3というトライ数においても圧勝だが、後半33分で五郎丸が不可解なシンビンを食らってから、2トライ奪われたわけで、その意味では早稲田の完勝だろう。FWの素早い仕掛けと絡みでボールを支配し続け、何度か近場をついてから、ラインにボールが渡ると、慶応のディフェンスには必ずギャップがあった。その意味で、慶応サイドに立てば、気迫を高めることやタレント集めだけではなく、基礎やフォーメーションの練習にももっと大きな時間を割かねばならないだろう。
だが、早稲田にしても問題がないわけではない。今村、和気の両センターこそ、センターの役割を十分に果たしていたが、そこへの繋ぎとしてSOの安藤が2年のときからさっぱりうまくなっていないのだ。速度があり距離も出るスピンパスは放れるのだが、受け手のやや前に正確にボールが収まることが少なかった。常に方向がずれる安藤のパスは、もっとプレッシャーをかけてくる相手だと、インターセプトされる可能性さえあるだろう。そして昨年よりはよくなったものの後藤の球捌きだ。もっと早いタイミングで、そしてもっと速度のあるパスを供給できれば、関東学院はもとより、トップリーグのチームにも勝機があるに違いない。もちろん、彼のキックパスが、小吹に繋がったプレーは、賞賛しておきたいと思う。練習してきたプレーであれば、早稲田のアタックに決定的な選択肢を与えることになるだろう。この1週間で連続して行われているテストマッチでも、フランスやイングランドがその手のキックパスを多用している。相手のプレッシャーが強く、近場の勝負でもライン勝負でも打開が困難になったとき、逆サイドへのキックパスほど有効な戦術はないはずだ。後藤と安藤がこの種のパスを使いこなし、両翼とセンターがディアゴナルに走ることができれば、今のところ、もっともモダンなラグビーが展開されることになるだが……。
次の明治にアルティメイト・クラッシュできるかどうかが今年の早稲田の今後を分けることになることだけはまちがいない。

梅本洋一