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March 28, 2005
『エターナル・サンシャイン』ミシェル・ゴンドリー月永理絵
[ cinema]
『エターナル・サンシャイン』を見る数日前、リチャード・リンクレイターの『ビフォア・サンセット』を見たせいか、このふたつの映画をつい比べてしまう。どちらの映画もカップルが多く目についたが、監督ミシェル・ゴンドリー、脚本チャーリ−・カウフマンという名前を見ればわかるように、『エターナル・サンシャイン』は、簡単に恋人たちを盛り上げてくれるような映画ではない。
限られた時間の中で、恋人との思い出を会話の中で少しずつ引き出していく(『ビフォア・サンセット』)。あるいは科学的な操作によって思い出を消していく(『エターナル・サンシャイン』)。ふたつの映画に共通するのは、記憶を扱うという物語の設定だ。リンクレイターは実際には何ヵ月もかかったという撮影を、まるで本当に87分間で撮ってしまったような、とにかくとても軽いノリで撮ってしまったように見せている。一方『エターナル・サンシャイン』を見ると、時間も手間もかかっているんだろうな、とその映像や脚本の複雑さを認めるしかない。
ただし、より共感しやすい物語をもっているのはたぶん『エターナル・サンシャイン』の方なのだ。何より、たとえ記憶を消されても一度愛しあったものは無意識に惹かれ合うという発想自体、なんだかとてもロマンチックだ。記憶はすべて映像として表現できる、という設定が基本にあり、奇妙な装置によってそれらの映像がひとつずつ消されていく。記憶を消されたケイト・ウィンスレットに近付く男がいる。彼は記憶を消す手伝いをした男で、それを利用しジム・キャリーとの思い出を忠実に再現していくことで彼女の気を惹こうとする。つまりジム・キャリーとの思い出を盗もうとするわけだが、結局うまくはいかない。彼女は無意識のうちにジム・キャリーに惹かれてしまうからで、決して消えない記憶に導かれて、ふたりは出会うというわけだ。
『ビフォア・サンセット』では、9年前の彼らを映した『恋人までの距離(ディスタンス)』の映像がほとんど使われていない。思い出は現在の彼らの会話によってつくられるし、無意識に引き寄せられたとか、偶然に出会ったとかではなくて、必然的にもたらされた出来事によってふたりは再会する。確かにふたりはもう一度惹かれ合っているし、お互いに特別な相手だと考えてもいるが、それが運命だとか本物の愛だとかいうロマンチックな発想はどこにもない。出会ったという事実が先にあり、記憶は後からつくられていく。
映像に対して最初に感じた印象とは逆に、『エターナル・サンシャイン』の方がより物語を信じていて、『ビフォア・サンセット』の方が実際に映されたものを信じているようだ。恋人と見に行くなら断然『ビフォア・サンセット』だと思っていたが、ロマンチックな物語に浸りたいのなら、もしかしたら『エターナル・サンシャイン』の方がいいのかもしれない。
投稿者 nobodymag : March 28, 2005 10:39 AM
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