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April 14, 2005
『F.O.B HOMES BOOK』F.O.B HOMES 監修須藤健太郎
[ book]
4月に入り、街を歩いているとやたらとテンションの高い人たちを見かける。スーツを着ていれば新社会人で、私服だったら新入生だろう。始まりの予感に満ちていて、とても楽しそうだ。
この前、今年から新社会人になった友人と話していて思ったのは、「わからないことだらけでストレスが溜まる」とか言いながら、けっこう新生活を楽しんでいるということだった。とにかく前向きで、たとえば初めて名刺を持つという些細なことを彼はとても嬉しそうに語る。新社会人ってけっこういいのかもと思った。みんながしているように、リクルートスーツを着て、毎日のように説明会や面接に出かけていればよかったのかな、とか。
この度INAX出版から出された『F.O.B. HOMES BOOK』は、実は、そんな新社会人になりたい人にはうってつけの本だ。今年、卒業を控える、まさにいま就職活動中の人たちは本書から多くのことを得るはずだ。嘘だと思うかもしれないが、本当にそうなのだ。
もちろんF.O.B HOMESの作品集に、「就活の心得」が書いてあると言えば大嘘になる。ここで紹介されているのは、19軒の住居。F.O.B HOMESが提案するライフスタイルやコンセプトに沿って作られたそれぞれの住居が、建築写真、図面、そしてそれらに添えられた簡潔な文章によって、読者に提示されている。写真は大きく使い(もちろんフルカラー)、文章は短く簡潔に。正方形の判型も大きすぎず、ぱらぱらとページを捲っていくことができ、最近引っ越しをした僕にとっては写真と図面を見ているだけでも、本当はこういうのがよかったとか、これは嫌だとかいろんな思いを抱きながら眺めることができてそれなりに楽しめるのだ。
だが、「家のつくり方を、つくりました」と帯にあるように、F.O.B HOMESが住宅をつくるに当たって考えているコンセプトが記述されている文章を読まずにすますことはできない。F.O.B HOMESが何を考えているか知りたければ、是非読むべきだ。簡潔かつ直接的なそれらの文章は、誤読するほうが難しい。ある問題があって、それをこういう方法で解決しただとか、あるいは住み手が自由に空間をつくっていけるように、こういうふうに設計しただとか、誰が読んでも同じ意味にしか読み取れないような確固たる論理が貫かれている。どのようにも変化しうるシンプルでニュートラルな住宅を提案するF.O.B HOMESのコンセプトとは逆に、文章はいたって一面的であり、読者の理解を妨げることがなく、短いながらも自らの魅力を過不足なく伝えているのだ。
僕が、就活中の人たちにとって参考になると思ったのは、本書の文章に見られるそうした性格だった。つまり、本書は1冊丸々「自己アピール」の本で、エントリーシートでも面接でも、どのように自分を売り込んだらいいか迷ったときに、本書は絶好の参考書となるはずなのだ。どんなに不器用な人でも、相手に自分の気持ちを本当に伝えたければ、相手にわかる言葉でストレートに伝えるよりほかに道はなく、論理は単純でなければならない。というわけで、就活中の学生はここからそのテクニックをどんどん盗んじゃえばいい。
投稿者 nobodymag : April 14, 2005 07:52 AM
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