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April 30, 2005

Champions League semi-final 1st Leg ミラン対PSV 2-0 チェルシー対リヴァプール 0-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

まずサンシーロのミラン対PSV。去年のポルトやモナコを見る限り、この言葉は使いたくないのだが、「格」という言葉を考えてしまう内容。確かにフース・ヒディングと彼のチームは一生懸命やっている。3トップに近い布陣から皆がよく走りボールを追いかける。だが、前半終了間際とタイムアップ寸前というもっとも失点してはいけない時間に失点し、堅守のミランからホームで3点取らねばならないほとんど不可能な戦いを強いられてしまう。ポゼッションでもショッツオンでも変わらないスタッツなのに、シェフチェンコにセンターバックふたりの間を見事に割られ、カカからのパスのこぼれ球をトマソンに決められる。対するPSVのシュートはほとんどジダの正面をついてしまう。このゲームの解説にあったとおり、ジダの正面をついてしまったのではなく、正確に言えば、ジダの正面しかシュートコースがなかった。スタムのマルディーニのポジションがいかによいかということだ。何気ないポジショニングと忠実な中盤のプレスと外さないシュート。「格」だ。
それに対して、リヴァプールのベニテスは、ようやくリヴァプールに馴染んできたようだ。もともと潜在力の高いこのチームに少しずつ変化をもたらしているのが分かる。今シーズンは、国内リーグを捨ててチャンピオンズリーグに集中させ、このゲームへのモティヴェーションを高め、高度なスカウティングでアウェイのこのゲームを引き分けに持ち込んだ。ドログバのワントップでバイエルンを消したチェルシーの長所は、ダフとジョー・コールの両サイドであって、事実、ジョー・コールは絶好調。ゴールが見えたら即シュート、そして運良くこのシュートが決まる。ダフ不在のこのゲームではジョー・コールを消せばゲームは膠着する。右の肺を欠いたドログバへのボールの供給源は半減してしまう。トラオレの健闘で、ほぼジョー・コールが消え、ベニテスの予想通りゲームは膠着する。バロシュのワントップを残し、他の選手は徹底して中盤に広がるスペースを埋める。対バイエルン戦の2nd Legを典型としてチェルシーはボールをキープしながらゆっくり攻めるチームでもなければ、好調時のアーセナルのように高いポゼッションを背景にしたパス交換で相手バックラインを崩していくチームでもなく、極めて単純なカウンター・アタックで点を取るチームなのだ。マケレレ、ランパードの中盤から両サイドにボールが供給され、それがドログバかグジョンセンに繋がっていくときしかチェルシーの得点は生まれない。前半こそ撃ち合いはあったが、後半になるとシュートも見られなくなる。ベニテスの読みが当たったゲームだ。モウリーニョは満を持してロッベン投入。左サイドに活力を吹き込もうとする。だが、どうも左サイドバックのギャラスとコンビネーションが合わない。ゲーム勘が戻っていないのだろう。そして、ベニテスはキューウェル投入。ますます中盤を厚くする。そしてタイムアップ。この膠着したゲームは、スコアレスドローであったがゆえに極めて興味深いゲームになった。2nd legに勝った方がファイナリスト。ようやく前半が終え、それもイーヴン。両監督ともどうやって点を取りに行くかをこの1週間で考えてくるだろう。もちろん今シーズンの総合点から考えればチェルシーだろうが、僅差の勝負になると思うので、特にこのまま後半の20分までスコアが動かなければアンフィールド(リヴァプールホーム)でのゲームなので番狂わせがあるかもしれない。ゲーム開始当初の15分でチェルシーは猛攻をかけるだろう。リヴァプールはどうやってしのぐか? ミランの対戦相手はどちらになるのか?