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June 5, 2005

W杯アジア予選 バーレーン対日本 0-1
梅本洋一

[ sports ]

 柳沢ワントップの3-6-1のフォーメーション。骨折の伸二に代わって2シャドーの一角に小笠原が起用された。両サイドに加地とアレックス、中田と福西のボランチ。3-6-1と言うよりも3-4-2-1という方が正確だろう。高原の怪我、鈴木の不調といった条件下では、この布陣が適切なのではないか。久保を欠いたFWは人材不足。ミッドフィールドには、黄金の4人(マイナス伸二)の他にも、福西、遠藤、小笠原といったタレントに事欠かない。とすれば、ワントップという選択は適切だ。
 だが、このゲーム、勝利し、勝ち点3をゲットするという初期の目的を達したのだが、いつもの通り、退屈なゲームだった。高温多湿という要因もあるだろうが、後半の20分から先はゲームの体をなしていない。ダラダラとボールをキープする日本に対して、芸のないロングボールばかりのバーレーン。負けることはないだろうが、圧倒的に勝ちもしない。「生殺しの勝利」のようなゲーム。もちろんクオリフィケーションは勝てばよい。だからジーコの批判は困難だし、キリンカップの2連敗は、このチームにとってよい薬になった(これは単に常套句だ)。だが、スカッとしない。これはこのチームを見守る皆の感想だ。理由も分かっている。まずディフェンス──これはほとんど5バック──、そしてアタックは、ボランチから前の5人の個人的な指向。システムで勝ったり、選手交代やポジションチェンジで勝つことはない。負けていないことは何よりも個人の資質が上がっていることを意味する。そして、唯一の得点シーンも、中田、俊輔、小笠原のパス交換の成果だ。アレックスのディフェンスは無責任だし、「動きが良い」といっても柳沢は「いつものように」シュートをしないか、しても枠に飛ばない。ピッチ上の「帝王」と化したヒデは鬼のような形相でチームメイトに指示を送り続ける。少しばかりのインテリジェンスと、クレヴァネスがあれば、圧勝のゲームだった。アレックスの無責任なディフェンスが唯一のピンチを招いただけだ。中田、俊輔、アレックスを欠いても、おそらく北朝鮮には勝つか、引き分けるだろう。そして日本もドイツに行くことになる。だが、問題は何も解決されず、単に先送りされるだけだ。そして──これは重要なことだが──、欧州各地の予選を見ても、ファンタスティックなゲームはほとんどない。日本のアジア予選のように退屈なのだ。リアリズムばかりが横行するクオリフィケーションに少しはアイディアリズムが付加されないだろうか。