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July 5, 2005

ラグビー オールブラックス対ライオンズ第2テスト 48-18 ワラビーズ対フランス 37-31
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 南半球の優勢が確実になった、などと暢気なことを言っている暇はなくなった。ライオンズがこうした大差でオールブラックスに敗れたことは初めてだし、フランスはスプリングボクス戦に次いで連敗。
 ウッドワードは、失望していると語り、ラポルトはまだ望みがあると語っているが、ゲームを見る限り、「紙一重」などというものではない。ワラビーズ対フランスは確かに大差ではないが、フランスに勝ち味はなかった。ライオンズは惨敗だ。敗因ははっきりしているが、はっきりしているからといって、その敗因を容易に除去することは不可能だ。ラグビーにおいてもっとも重要な点が、フランスもライオンズも南半球の2チームに比べて劣っていたと言わねばならない。フォワードである。
 ほとんど準備もせずに遠征をしている咎は両チームの監督が負わねばならない。オールブラックスはブレイクダウンで完勝し、ワラビーズはフランスFWに走り勝っている。これでは勝利は遠い。オールブラックスFWに接点で勝り、セットピースを優勢に進め、落ち着いたボール出しを心かげることがライオンズの勝利を呼ぶはずだったし、接点で劣っても、走力のある第3列で徹底してボールを散らし、バックス勝負に持ち込むことがフランスの「勝利の方程式」だったはずだ。スクラム、ラインアウトで劣勢に立ち、接点で後れをとるライオンズなど、ただの木偶の坊の集団にすぎない。非力なタックル、カヴァーディフェンスに行けない走力しかないフランスの第3列は、ワラビーズの組織された攻防の餌食にしかならない。
 クライヴ・ウッドワードのチームは、もともと混成チームであって4年に一度の「お祭りチーム」なのだから、まだ傷は浅いかもしれない。チーム戦術がないのも仕方がないのかもしれない。彼が監督を務めたイングランドにしても、強力フォワードとウィルキンソンのキックだけのチームだったし、世代交代期にあるイングランドには別の戦術が採用されるだろう。今シーズンのシックスネイションズに勝ったウェールズのパスプレイなど熟成させるには時間も足りなかったろう。
 だが、ベルナール・ラポルトのフランスは、もう4年目だ。ワイドに、あくまでワイドに展開した一昨年までの方法から、もっとキック、キックパス、ショートパス等多彩なアタックを仕掛けるチームに変貌しようとしている。だが、そのすべてのキーになる第3列──このゲームではレミー・マルタン、マーニュ(ニアンガ)、ボネール──がポール・スミスひとりに勝てない。点差こそ僅差だったが、これでは完敗もいいところだ。どうしたらいいのか? とりあえずフォワードのパックを強化し、セットピースで負けないようにすることが最重要課題。そして、フレアの中心であるミシャラクのディフェンスの弱さは目を覆うばかり。せめてセンターにハードタックラーをひとり。そして、ラインをもっと深くしてスペースを作っておくこと。そして……。課題が多すぎるね。