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October 20, 2005

チャンピオンズリーグ バイエルン対ユヴェントス 2-1
小峰健二

[ sports , sports ]

 一次リーグ第3節にあって、とりわけビッグゲームとなるのはバイエルン対ユヴェントスの試合である。ともに勝ち点6、このグループでの頂上決戦だ。しかし、ユーヴェは攻守の要であるヴィーラを欠いている。そこがこのゲームのポイントであったが、ヴィーラの不在がそのまま結果につながってしまった。

 結果は2-1。点差だけ見ると好ゲームのように思えるが、バイエルンの一方的なゲームであった。ただ、ここで留意しておきたいのはバイエルンが強かったのではなく、この日のユーヴェがあまりにお粗末な状態だったということ。それは先述したようにヴィーラのケガによる欠場が大きな要因であるには違いない。しかし、ひとりの選手が不在だからといってチームがまったく機能しなくなるのもどうか。そもそも去年までヴィーラはユーヴェの選手でなかったのだから、ヴィーラの欠場は言い訳にもならないだろう。
 だが、というか、もちろんバイエルンが突いてくるのはそのほころびだ。ヴィーラの代わりに入ったジャンニケッダは役不足の感が否めない。そこでエメルソンを筆頭にユーヴェの選手は中盤の底に気を遣っていた。だが、ユーヴェが中央をコンパクトに保とうとすればするほどバイエルンの両翼が機能し始める。ゼ・ロベルトとダイスラーがいるバイエルンにサイドの部があるのは誰の眼にも明らかだ。ユーヴェは真ん中に気を遣うあまり、サイドに気を配れなくなる。対して、バラックはボールを中、外、中といった具合に散らしリズムをつくる。ダイスラーの先制点はこのリズムの中から生まれた。中に意識が集中していたユーヴェDFは、それほど鋭いわけではないダイスラーの切り返しにやられてしまったのだ。小さなほころびはバイエルンのリズムによって大きな「穴」となってしまった。
 逆に、ユーヴェの攻撃もヴィーラの欠場が大きく響いた。トレゼゲやイブラヒモビッチに絶好のボールが行かないのはネドヴェドが原因ではなく、そのネドヴェドに配球するプレイヤーがいないのである。つまり、ユーヴェの中盤はがらんどうそのものであり、攻めと守りのパイプになる選手が見当たらない。これでは前線は孤立するしかなく、得点の臭いすら漂ってこない。カペッロはネドヴェドをセンターハーフに下げ、デルピエロをその前に置くべきではなかったか。ネドヴェドがつなぎ役になれば、エメルソンも守備に専念できたはずだ。
 いずれにせよ次節同じ相手とあいまみえるのだから、ユーヴェはヴィーラの不在を嘆くのではなく、まず手を打たなければならない。いくらセリエで好調といっても、チャンピオンズリーグで勝つのは簡単なことではないのだ。このままお粗末な状態が続けばリーグにも影響するだろう。カペッロは悠々とベンチに座っている場合ではない。