« previous | メイン | next »

April 10, 2006

チャンピオンズ・リーグ マンチェスター・ユナイティド対アーセナル 2-0
梅本洋一

[ sports ]

 日程的にタイトなアーセナルとチェルシー追撃に望みの出てきたマンU。チャンピオンズ・リーグに勝ち残っている4チームのすべてがリーグ戦の成績も賭けているので、リーグ戦終盤の4月は本当にきついゲームが続く。だが、シーズン終盤になってアーセナルは「だんだん元気になってきている」(反町)ので、好調のマンU相手でも、しかもアウェイでもなんとか凌げるのではないかと思っていたが、アーセナルはウェイン・ルーニーひとりにやられた。さらに「ヴェンゲルは何を考えているか分からない」(粕谷)という思いを共有したアンリのベンチスタートの謎。チャンピオンズ・リーグを戦いつつ、来期のチャンピオンズ・リーグへの出場権を得るために、プレミアでも4位以内を確保しなければならないアーセナルの義務。そのために勝ち点を積み重ねていかなくてはならない。現在4位のスパーズとの勝ち点差は1。そしてアーセナルはスパーズよりも1ゲーム消化が遅い。つまり、このゲームに勝てば、1差が続き、負ければ5差になる(スパーズはこのゲームの開始前に勝利を収めている)。
 確かにモティヴェーションはあった。開始早々はアーセナルのフットボール。だが、アデバイヨール=ファン・ペルシの2トップが機能しない。単にふたりでプレーしているだけだ。中盤の4人が優位にゲームを運んでもシュートが枠に行かない。マンUも次第にゲームを落ち着かせ、パク・チソンとルーニーが動き回り、中盤を支配し始める。前半は、トゥレの疑惑のハンドが見逃され、何とか0-0で行ったが、何か手を打たなければ、後半の失点が目に見えるようだった。だがアンリはベンチに座ったまま。左サイドにルーニーが流れてまず1点、そしてルーニー=パクで2点目。ヴェンゲルが重い腰を上げるのは、ここからだ。ユングベリ、ディアビ、アンリの投入はいずれも70分を過ぎてから。
 アデバイヨールはまだプレミアの激しさになれていないようだ。ファン・ペルシは才能を感じるが、まだひとりでやりすぎる。このチームは、4-1-4-1に慣れてしまったのか。4-4-2ではダメだ。そして何よりもアンリのチームであることが今日の敗戦によって証明されてしまった。UEFAはアーセナルがチャンピオンズ・リーグに優勝すれば無条件で来年出場させると言っている。
 もちろん今シーズン4位にはまだ希望があるし、チャンピオンズ・リーグでも頑張れるだろう。だが、こうしたゲームを支配できないアーセナルはまだ青いとしか言いようがない。押しているとき若いチームは実力を発揮するが、押されているとき、若いチームは混乱に陥る。ベルカンプはまだか?