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June 2, 2006

ドイツ対日本 2-2
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 すでに多くの記事が示しているとおり、基本的に日本代表は悪くないゲームをした。ショートからミドルレンジのパスを交換し、バイタルエリアでスルーパス。高原の久々の2点も良かったが、このゲームでは、日本代表の長所はやはり中盤にあることが証明された。ヒデ、俊輔、福西の3人はバラックを中心とするドイツの中盤よりもずっと良かった。
 だが、勝ちきれない。簡単なセットプレーから2点を献上し、結局ドロー。善戦したが勝てないというデジャヴュが反復してしまう。どうすればいいのか? もちろんジーコの言うとおり、あんなところでファールはいけない。体力勝負のゴール前を避けることが最善の策であることは言を待たない。だが、こうしたシーンは必ず反復されるだろう。反復を差異に変えるためにはどうすればいいのか。まずジーコのリクルートの問題。闘利王が欲しいところだ。リベロ型の宮本ではセンターバックはきつい。坪井も悪くはないが、彼を見ているとどちらかと言えばサイドバックに向いているのではないか(たとえばテュラムを例に挙げればいいだろう)。だが、すでに23名が選ばれている。田中の怪我で茂庭が入るが、別に問題解決にはならない。リクルートと並んで大きな問題は、出来の悪いドイツであろうと、アジア・レヴェルよりは上だということ。つまり、ポゼッションしながら攻めることは不可能だ。対アジアの国々のようにねばり強く戦っていれば最後にチャンスが訪れるという展開は期待できない。だからバックラインのファーストチョイスはフィードではない。クリアだ。明解なクリア。バックラインは中澤を除いてどうしても個人技で見劣りする。だからそのあたりの戦術をはっきりおさえておくこと。親善試合なら何でもいいが、W杯本戦は何よりも勝つことが重要だ。確かにいいゲームをしたが、勝ち切れなかった事実はもっと大きい。
 それにしてもドイツは弱い。確かにドローに追いつきはしたが、このゲームの有様ではかなりきつい。フランスの快調な仕上がりぶりと好対照。