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August 22, 2006

アーセナル対アストンヴィラ 1-1
梅本洋一

[ book , sports ]

  06-07シーズンのプレミアリーグの開幕戦。ハイバリーに別れを告げエミレート・スタジアムに移ったアーセナル。今シーズンの移動としては、もちろんベルカンプの引退、ソル・キャンベルの移籍、さらにアシュリー・コールのチェルシー移籍をヴェンゲルが承認したというニュースがある。ロシツキーの加入も大きなニュースだが、チャンピオンズリーグ予備戦の対ディナモ・ザグレブ戦で怪我をして開幕には間に合わなかった。センデロスのW杯での怪我も治っておらず、常に変化と創意工夫を迫られる選手起用はまったく改善されていない。
 だが、ヴィラとの緒戦アーセナルは、このチームらしいフットボールを展開する。短中距離のパスが縦横無尽に通り、8割近いポゼッション。センターミッドフィールダーには、セスクとジウベルトが起用され、セスクは主にパサー、ジウベルトがボールを拾いまくり、特に右のエブエがほとんどウィングのような仕事をし、フレブとのコンビネーションで上がっていく。アデバイヨール、アンリの2トップに面白いようにボールが繋がり、シュートの雨。だが、いつものように──そう、これこそアーセナルなのだが──シュートが決まらず、ペナルティエリアに侵入しても、パスの受け手を探している。ヴィラはゴール前に専守防衛なのだが、その人混みの中でパスを繋ごうとしている。相手を引き出す──そんなことは誰も考えていない。ロングシュート──ボールを失うよりもポゼッション! 相変わらずのアーセナルだが、この日はツキにも見放されている。エブエ、アンリ、アデバイヨールのシュートがポスト、バー、オフサイド……。こんなときはカウンターでやられると思った瞬間、今日のチームの弱点であるセンターバックが割られ、先制を許してしまう。けれども、誰も焦らず、同じようにパスを繋ぐ。そしてファン・ペルシとウォルコット(!)の投入でポゼッションは一段と上がる。強打のファン・ペルシ、巧打のウォルコットという感じ。
 75分にようやくジウベルトのヴォレーが決まり、やっと同点でゲームを終える。見ていてこれほど面白いフットボールはないのだが、残念ながら、結果が勝負のスポーツ。こういうフットボールがいいのだが、点を入れることも、おそらくもっと重要なことなのだ。もっと点を入れれば、来年はチャンピオンズリーグ予備戦からは解放されるのも事実。二者択一の悩みは今シーズンも継続中だ。