« previous | メイン | next »

August 30, 2006

マンチェスター・シティ対アーセナル 1-0
梅本洋一

[ sports , sports ]

 ぼくらアーセナルのサポーターにはアルセーヌ・ヴェンゲルからMy Verdictというメールが毎週送られてくる。その週のゲームの分析と今後の展望が記されている。アストン・ヴィラに引き分け、シティに負けたアーセナルは最悪のスタートを切ったように見える。幸いチャンピオンズリーグの予備予選は勝ち抜いたが、先シーズンのリヴァプールのように、予備予選に出場するチームの始動は他のチームよりもずっと早い。アーセナルは、すでにチャンピオンズリーグに入っているように週に2ゲームの日程。それに補強はロシツキひとり。ベルカンプの引退、キャンベル、ピレスの移籍、さらにアシュリー・コールのチェルシー入り(ほぼ確定?)の噂、センデロスの怪我……。もうシーズンの後半のように選手を使い回しする状態。ただでさえ選手層が厚いとは言えないチームのやりくりは大変だ。それに今出場している選手でW杯に出ていないのは、ジュルとホイトくらいなもので、他のメンバーはまだトップコンディションにない。ヴェンゲルの「言い訳」もだいだい上記のようなものだ。
 しかし現実にゲームを見た者から言わせると、決して捨てたものではない。2ゲームとも勝てるゲームを勝ちきれない。ヴェンゲルはover-elaborateと言っている。ポゼッションでは完勝。見事な展開。だが、シュートに持ち込むのが遅すぎる。ほとんどの選手がシュートを選択すべき場面でパスを選択している。そのパスが通れば文句はないが、余りに狭い局面でパスを選択するので、当然、厳しいディフェンスに会い、そこからカウンターを喰らうことになる。パスの供給役になっているセスクもうまくはなっているが、今ひとつ視野が狭い。それにアデバイヨール=アンリの2トップはうまく行っていない。先シーズンのチャンピオンズリーグのように4-5-1にして中盤を厚くした方がよいのではないか。点が入らないことには勝てない。シュートを打たないことには点は入らない。自分たちの展開に酔うのは、もっと後でも良い。なんだか捨てたものではないと書きながら矛盾したことばかり書いているようだ。だが、本当に捨てたものではないのだ。点が入らない──シュートが少ないことを除いては、ほぼ満点の出来だからだ。ヴェンゲルはMy Verdictを先取点をとることだとまとめているけれども、誰でも我そう思うだろう。今はメンタルを強く持って我慢するときかも知れない。ヴェンゲルがグランパスを指揮し始めたころ、いったい何連敗したのだろう。だが、シーズン終盤には天皇杯を制するくらいチーム力が上がった。今のアーセナルは連敗中のグランパスに似ている。もっとシュートだ。とくにセスクとフレブ、もっと積極的にシュートだ。