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December 4, 2006

関東大学ラグビー 早稲田対明治 43-21
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 結論から書いてしまえば、早稲田の圧勝。対抗戦43連勝などという記録はどうでもよい。他が単に弱いと言うこと。ゲーム全体の印象は、早慶戦の方が面白かったということだ。この日の早稲田は出来が悪かった。特に曽我部の出来は悪い。キックがブレ、パスを2度もインターセプトされ、自らのラインブレイクも見られなかった。五郎丸の3トライも個人技とゴッツァンによるもの。早稲田が明治を崩して取ったトライは、権丈がライン参加して取った1本と東条、豊田で取った1本だけ。それでもラスト10分までは43-7であって、ここからどんどん控えを投入し、ディフェンスが整わないうちに2トライを奪われたのは監督の責任。前任者なら早明戦に控えを出して経験を積ませるよりは、あと2トライ奪ってアルティメイト・クラッシュで勝つことを選んだだろう。
 具体的な問題点をいくつか。まずディフェンス。これは問題が多い。タックルが高い。一発で倒すように肩から正確にヒットするタックルをもっと練習すること。特に曽我部と五郎丸。このふたりは、これからインターナショナル・レヴェルでもプレーして欲しいので、明治程度の相手にディフェスを苦労するようではしょうがない。曽我部がタックルに行っても外されるのはヒットする力が弱いからだ。もう一歩踏み込んでヒットすれば相手は倒れる。五郎丸にはJPRウィリアムズのビデオを見せてタックルの基本に戻ってレッスンする謙虚さが欲しい。モールのディフェンスも遅い。慶應のように明治がボールを持った瞬間に最低3人は足首にタックルにいく練習をもっとすること。そしてライン・ディフェンスにあっては、ひとりが足首に、もうひとりがボールにいくタックルの反復練習が必要。次にアタック。曽我部はもっと普通にプレーし、時にヴァリエーションをつけること。普通のライン攻撃でも明治なら抜けたろう。ロングパスか、リヴァースパスだけではなく──つまり、それらは選択肢のひとつであって、それらを普通に使っていては読まれる。今村を擁しているのだから、センター陣を縦に入れながら、フォローするアタックを。
 けれども、もちろんよいところもたくさんあった。特に目立ったのは1列の3人。理工学部の瀧澤は特によかった。ディフェンス、アタック、そして専門職のスクラムでも申し分ない。こういう選手は大きく伸ばしてやりたい。そして去年から活躍している豊田は大学生のレヴェルを大きく凌駕している。もっとハイレヴェルのゲームに使ってやりたい。
 ポゼッションにおいても、スクラム、ラインアウトにおいても明治の比ではないのだから、もっと圧勝すべきゲームだった。