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February 19, 2007

ラグビー日本選手権準決勝 トヨタ対サントリー 39-17
梅本洋一

[ book , sports ]

 清宮克幸の今シーズンは終わった。マイクロソフトカップ決勝のころから、このチームの弱点が目立ってきたが、シーズンのもっとも重要なゲームでその弱点が露呈した感じ。学生チーム──つまり早稲田のこと──なら、強気一辺倒で学生たちも清宮のカリスマ性についてくるのだろうし、昨年の早稲田対トヨタ戦のように一発勝負なら、勝てる可能性もあったのだろうが、何度も顔を合わせ体をぶつけ合っていくうちにサントリーのブレイクダウンの弱さを相手チームの選手たちははっきりと感じ取っていったにちがいない。
 もっとも清宮もブレイクダウンに強い、スクラムに強いに言い続け選手たちを暗示にかけて、実力以上のものを引き出してきたのだろうが、シーズンが終盤に達すると、そうした暗示や裏付けを欠いた自信──裏付けがないから自信を植え付け、プラスαを狙うしかない──の表皮が剥がれていく。するとブレイクダウンやスクラムに拘れば拘るほど、その両方で優位に立てない選手たちは、ゲームの中で方向性を見失っていく。今日の対トヨタ戦ではそのことがはっきり現れてしまった。FWの実力以降の健闘が今日までサントリーを支えてきたのだろう。だが、FW戦での敗北が明らかになると、長いパスを放ることのできないハーフ団は有効な戦術を見いだせないまま、相手フランカー陣の餌食になるだけだ。トヨタ5トライ、サントリー2トライ。この結果は順当なものだろう。
 もしサントリーで清宮が長く指揮を執るのなら、この1年目は成功だった。トップリーグ6位のチームを2位にまで押し上げ、日本選手権も準決勝までいった。そして次のシーズンまでに解決すべき問題がこれほどまでに明らかになったのだから。いくつもある問題点の中で、3点だけ上げる。FWではもっと強いロックが必要。もう早野には頼れない。そしてフランカー陣のタックル力が不足している。アタックには秀でていてもディフェンス力が物足りない。一番重要なのは、長いパスが放れて、キック力のあるSOがいないこと。菅藤も沢木もまったく物足りない。JKがジャパンに選ばないのは当然だろう。さらに、3点と書いたのに4点目になってしまったが、東芝やトヨタに比べてフィットネスが不足している!
 来週の東芝対トヨタは今のところ真の日本一を決めるゲームになる。秩父宮にお客さんが入るだろうか?