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February 27, 2007

シックスネイションズ フランス対ウェールズ他
梅本洋一

[ book , sports ]

 怒濤の週末(その2)という感じ。先週末はさらに大学教員であるぼくには、入試業務が重なり、試験監督と採点もあった。シックスネイションズでは、アイルランド対イングランドとフランス対ウェールズ戦、そして午後には日本選手権決勝の東芝対トヨタ戦。今、テレビからはアカデミー賞の中継が流れている。UNIDENのモニターに何時間縛り付けられているのだろうか?
 まずは結果から。アイルランド対イングランドは43-13、フランス対ウェールズは33-21、東芝対トヨタは19-10。
 東芝対トヨタ戦から。両チームのディフェンス・ゲーム。トヨタも頑張ったが、こういう展開になるとシーズン当初からディフェンスのエキササイズが行き届いている東芝の勝利か。ディフェンスだけを見れば、トヨタが押し込まれる局面が多かった。いわゆる「すきま風」が吹き込むというやつ。けれどもなかなか点が取れないのは、トヨタにも十分な気迫があったということ。精神論よりも、方法論に理があるとは思うが、こういう一発勝負では「強い気持ち」も大切だ。東芝は全員が強い気持ちを持っていた。だが──ここから重要──東芝はモールに自信を持ちすぎていて、それに拘る余りラインブレイクの工夫が足りない。マクラウドからしか突破できない。ラストはオト→立川だったが、こうしたプレイが随所に出なくてはいけない。広瀬、もっと成長しろ。君がラインブレイクを作らなければ……。一方のトヨタは、不調のアイイに頼りすぎ。赤沼、もっと成長しろ。遠藤ばかりでは標的になるだけ。
 日本選手権がどうもバタバタしたゲームに見えるのは、その前にアイルランド対イングランドを見ていたからだろう。オガーラとウィルキンソンの蹴り合いからスタートしたが、フォワードの「誠実さ」で、アイルランドが勝りはじめ、フォワードが優勢になると、ダーシー、オドリスコルのアイルランドセンター陣が目立ちはじめる。イングランドは、両ウィングを除くと、全員FWのような闘いぶり。今までのゲームが2戦2勝だったが、見ていてどこが強いのかさっぱり分からなかった。今日見てみると、やはりこのチームは芸がない。ウィルキンソンしか点が取れない。前のW杯のようにFWの個々の力が圧倒的に強いときならまだしも、今回のFWでは次戦のフランスにも完敗するだろう。どうやって勝つのかという方法論にはウィルキンソンという固有名しかない。
 そして、フランスはウェールズにほぼ完勝しながら点差が開かない。このゲームの解説の今泉の言うとおり、W杯開催を控えて「勝つゲーム」を組み立てるために、どうしもPG狙いで安全な点差を作ろうとするのだが、ラインブレイクの方法にもう一工夫欲しい。センター、両ウィングともに力はあるが、アタックが単調なのだ。これはこのシックスネイションズ全体に言えるが、どのチームもライン攻撃の方法がとても似ている。ワイドでフラットなライン。それはそれで良いのだが、常にワイド、常にフラットではディフェンスも易しい。イタリア、アイルランド、ウェールズに勝ったのだから、この次の対イングランド戦から、フレアを試したらどうだろう。今日のようなゲームプランではオールブラックスには勝てない。