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March 26, 2007

日本対ペルー 2-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 イビチャ・オシムが初めて「欧州組」の高原と俊輔を呼び戻し、実質的な現在の「最強メンバー」で臨んだ親善試合。相手が若手主体のペルーであって、ペルーは「欧州組」を呼び戻していないことはまず確認しておいた方がいい。このゲームは、勝って当然のホームであり、スパーリングパートナーとしてはちょうどいいということ。
 2-0という結果について書くべきことは少ない。解説のセルジオ越後が強調していたように、流れの中からの得点が生まれなかったことは残念だが、ポストに嫌われたシュートもあったし、かなり流れの中からチャンスは作れていたろう。先取点の巻のヘッドも、2点目の高原の見事なヴォレーもともに俊輔のFKから生まれたので、俊輔の実力評価も定着した。確かにこのゲームでの俊輔は「将軍」だった。中盤でほとんどのパスが俊輔を経由し、彼がアタックのタクトを振ったのは否定しようもない事実だ。彼にとってセルティックでの体験は、セリエA時代のそれに比較してずっと貴重なものであることは論を待たない。チャンピオンズリーグ出場でミランやマンチェスター・ユナイティドを戦った経験はダテではない。「格の違い」というやつだ。そして高原。顔つきがちがう、が第一印象。自信を持つということは人の顔も変える。フォワードして貫禄が漂っている。従来からの誠実なプレーはそのままなので、このチームのレギュラーは決まりだろう。彼にまとわりついた不運さえなければ、これからもゴールを量産してくれるはずだ。
 だが──これからが本題──オシム自身も述べている通り、俊輔のプレーはまだこのチームにマッチしていない。セルティックの彼のプレーをそのままやればいいのに、気負いだろうか、あるいは相手が弱いからプレッシャーが少ないせいか、ほんの零点何秒か持ちすぎる。もちろん、それでもパスは通るし、ドンピシャでサイドにパスが行くので見落とされがちだが、連動性の速度が遅いのだ。彼にはもっと簡単にプレーしてもらいたい。このチームに慣れている遠藤はその点とてもよかった。
 しかし俊輔のプレーが遅くなるのは、彼の後方に控えるセントラル・ミッドフィールダーの展開力が見劣りするせいかもしれない。阿部、鈴木啓太ともに展開力がない。彼らがもっとワイドにパスを散らすことができれば、俊輔の負担も少なくなり、ワンタッチプレーが増えるのではないか。後半、阿部に代わって入ったフロンターレの中村によって、もっと多くのオプションが生まれたことや、鈴木啓太から有効なパスが生まれなかったことを考えれば、この遅さの原因のすべてを俊輔に帰すのはわるいかもしれない。
 そして、トゥーリオ、中澤のセンターバックはほぼ満点。この組み合わせをドイツでも見たかった。