« previous | メイン | next »

September 21, 2007

モウリーニョ解任
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 今朝ジョゼ・モウリーニョ解任のニュースが飛び込んできた。不調のチェルシーで、しかもローゼンボリにホームで引き分け。だが、プレミアシップは始まったばかりで、チャンピオンズリーグもグループステージの緒戦が終わっただけ。
 つまり、アブラモヴィッチは、モウリーニョ解任の機会を窺っていたのだろう。後任監督にはエイヴラム・グラントが就任したという。エイヴラム・グラントって誰? 「エイヴラム・グラントで検索!」(つまらぬパスティッシュでごめんなさい)
 彼は、この7月にチェルシーのマネージャーに就任した人で、以前はイスラエルの代表チームの監督や、マッカビ・テルアヴィヴやマッカビ・ハイファの監督を務めた人であることが分かった。そして、アブラモヴィッチの友人らしい。アブラモヴィッチがなぜグラントに白羽の矢を立てたのか? これも検索! するとロマン・アブラモヴィッチは、born in Jewish familyとある。つまり、これはジューイッシュ・コネクションということだ。アブラモヴィッチは、モウリーニョをシーズン中途で解任するための布石として、グラントをマネージャーの地位に押し込んだのだろう。解任のきっかけを虎視眈々と狙い、チャンピオンズリーグのホームでの格下に対して引き分けというタイミングで解任に踏み切ったのだろう。
 このサイトの読者なら周知のことだろうが、ぼくは、チェルシーのファンというわけではないが、モウリーニョの力は十分に評価している。昨年は欲しくもないシェフチェンコとバラックを押し込まれ、今年はロッベンを奪われた。モウリーニョからすればいい加減嫌気がさしたということだろう。巷では、後任にカペッロだとかリッピだとか囁かれていたが、アブラモヴィッチにしてみれば、カペッロでもリッピでも、彼の言うことをきくことは思えないだろう。こうした名前を思いついたのは、チェルシーというチームの格と監督の格を秤にかけて、釣り合いを考えたフットボールファンだ。アブラモヴィッチにしてみれば、チェルシーというチームは、サポーターや選手のためのチームでも、フットボールファンのためのチームでもなく、単に自分のチームだ。大枚を投じて選手を買い漁り、自分の思い通りに選手起用がされないと腹を立てる。典型的な「成金」! ナベツネ時代の「読売」と「巨人」、あるいは「ヴェルディ」の関係そのもの。
 ぼくは最近、「どっちが偉いのか」とよく考えるようになっている。石油を掘ったら石油が出てきて大金持ちになった「偶然の人」とFCポルトという弱小チームをチャンピオンズリーグ優勝にまで導いた「実力の人」と「どっちが偉いのか」? その答は、会社に就職し、その中で地位が上がって社長になった人と、チャンスにはかならず期待を裏切らない活躍をした三塁手とどっちが偉いのか、の答と同様、とても簡単に解答できる。三井住友銀行の頭取よりもラグビーの代表監督の方が偉い。プロデューサーよりも監督の方が偉い。
 モウリーニョは、ぜったいにどこかの監督に就任して、来年のチャンピオンズリーグでリヴェンジして欲しい。あるいは、これは誰の目にも監督を代えなければダメなスパーズの監督にすぐさま就任し、ロンドン・ダービーで頑張って欲しい。ジョン・テリーやフランク・ランパードなどモウリーニョを慕う選手たちはどうするのだろう。