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December 12, 2007

ミドルスブラ対アーセナル 2-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 先節のニューキャッスル戦からアーセナルの調子が落ちている。故障者リストには、フレブ、フラミニ、ファン・ペルシ、セスク、ディアビが並んでいる。ファン・ペルシとディアビは替えがきくからまだいいが、フレブ、フラミニ、セスクの怪我は痛い。4人のミッドフィールダーのレギュラーのうち、3人が故障者リスト入り。そして、残ったメンバーは皆疲れている。
 ニューキャッスルに続いてそんなアーセナルにボローが襲いかかった。方法はニューキャッスルとまったく同じ。中盤を早いプレスで潰していくことだ。ディフェンスラインから供給されるボールをここで寸断すれば、アーセナルの流れるようなパスは消える。連戦による疲労から運動量が減っているところに強烈なプレッシングを受け、アーセナルの中盤は最初からアップアップの状態。早めにタイトなマークに入られると、ボールを奪われまいとして体を入れることになるので、必然的に球離れが悪くなる。すると囲まれる。そして奪われるか、苦し紛れにバックパス。そしてロングフィードが相手のミッドフィールドにひっかかる。悪循環。
 ヴェンゲルは、出場していない選手のことを敗因にするのを断固拒否しているようだが、ジウベルト、ディアラのセントラルミッドフィールドでは正直苦しい。まずセスク、フラミニに比べて運動量が少ないので、ボールタッチの回数が少ない。スピードがないので、ポゼッションするが苦しい状況になる。展開が遅延し、パスの方向を簡単に読まれてしまう。このふたりを消したボローの次の標的が両サイドになることは言うまでもない。そして、サーニャ、クリシの両サイドも、いつもなら、セントラルミッドフィールダーのふたりと、両サイドにワイドに開いたミッドフィールダーとの連携で動き出しが始まるから、セントラルミッドフィールダーのふたりが追い込まれるとどうしても下がらざるを得ない。エブエとロシツキが孤立し、2トップとの連動性がなくなる。ここでも悪循環。ヴェンゲルがコレクティヴなフットボールと呼ぶ「連動性」がなくなれば、アーセナルは若い経験不足な選手を揃えたウブなチームということになってしまう。ヴェンゲルは、ジウベルトの経験値にその若さを埋めて欲しいと思っているだろうが、そのジウベルトの今シーズンの出来は悪い。ボールタッチの回数が少ないのだ。つまり、ゲームを読めていない。またボールに触っても奪われるか倒されるシーンが目立つ。彼のフィジカルはもう衰え始めているのか。アンリの移籍後、若者たちの連動性で勝利を重ねてきたこのチームに正念場がやってきた。
 だが、次節のチェルシー戦を控えて、次のゲームはチャンピオンズリーグの対ブカレスト戦。ここは完全なターンオーヴァーにし、ひとりでも負傷者の恢復を待つ時間に当てること。ブカレスト戦に「寝たふり」をすれば、チェルシー戦にはフラミニとファン・ペルシが戻れるとのこと。フレブとセスクはもう少しかかりそうだ。ヴェンゲルはそうしないかもしれないが、チェルシー戦はミッドフィールドを厚くしてディフェンシヴなゲームプランを立て、何とか勝ち点1をとって、しのぎきればセスク、フレブの復帰も近いはずだ。それとも誰かが突然台頭し、救世主になってくるといいが。ファンとしては今が底だと思いたい。