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January 28, 2008

キリンチャレンジカップ 日本対チリ 0-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 代表チームの前に監督名をつけるのは確かに余り格好のいいものではないが、ナンバー誌最新号の特集の通り「監督力」というのも事実だ。ましてや代表チームの監督は選手を選べる。岡田武史の代表監督復帰第一戦の相手がビエルサのチリだったのは、組み合わせとして面白い。そして、岡田がキャッチフレーズに大西鐵之祐の「接近、展開、連続」を挙げたのも、面白い。
 そしてゲームは? これがまったく面白いものではなかった。勝負に拘れば、高原に代わって後半に投入された大久保が外しまくったので、1本でも決めておけば勝ったろうが、退屈で眠くなった。スコアレスドローだからつまらなかったのではない。岡田武史のチームもビエルサのチームも、まだまだ未完成であるがゆえのつまらなさだ。そしてビエルサはまだいい。彼が求めるフットボールはいつも同じだ。3-4-3! 世界の代表チームでこのフォーメーションをとるチームはきっとチリひとつだろう。家元のオランダだってもう4-3-3なんだから、この超攻撃的なフォーメーションは何となく時代錯誤のような気もするが、これがビエルサの「思想」なのだから仕方がない。そして、残念ながらチリは、まったく未消化。
 そして岡田武史の「接近、展開、連続」は? バックラインは初代表の内田も含めて及第点。でも、ボランチ(鈴木)から前はまったく機能しなかった。フォーメーションは、4-1-3-2。だから鈴木はアンカーと呼んだ方がいいかな? 3の部分には左から山岸、遠藤、憲剛と並べたが、ここにアタックの方向が中央に寄りすぎる原因がある。オシム時代、起点は右の俊輔、左の遠藤、そしてときに攻め上がる中央の憲剛という組み合わせだった。だが、岡田のとった並べ方だと、遠藤がトップ下という古めかしい呼称が思い浮かぶ位置。ここが起点では、アタックの可能性は半減する。だから後半になると、遠藤は鈴木と並び、ピルロのスタイルを真似ていたが、このチームにとってそれは「設定外」でパスの通りが悪くなった。つまり、このチームの型もなければ、ましてやスタイルもない。準備不足。「接近、展開、連続」もショートパスを通すくらいの狙いだったら、故大西さんに失礼だ。
 つまり、何のためのチリ戦か分からないし、内田が大丈夫だということ以外、何の収穫もなかった。ボスニア戦まで判断は保留しよう。