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October 27, 2008

『アイアンマン』ジョン・ファヴロー
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 ロバート・ダウニーJr.、テレンス・ハワード、グウィネス・パルトロウ、そしてジェフ・ブリッジスの4人がほぼすべてのキャストなのだから、どんな風にしようと映画になる。しかしまったく子供向けではない人選……。かといって真っ当な大人向けでもない。
 アイアンマンとして生まれ変わったロバート・ダウニーJr.が、今後一切自分の会社で兵器を作らないと宣言する記者会見でこんなことを言う。「自分が無責任なシステムの一部であることに気付いた」と。そのボディ自体は基本的な兵器の仕組みでできているアイアンマンが持つ固有のものとは、ダウニーJr.にしか作れない謎の動力源である。本来そのシステムの一部としてしか運動できないはずの人間が、そのシステムでは理解不能なまったく別の動力源で動くことができるということ。しかし、この映画の中で描かれるように、その未知のエネルギーすらシステムに回収されてしまうわけで、その辺の戦いをもっと描いてもらいたかった。
 最後のサミュエル・L・ジャクソンの登場で、続編は『アヴェンジャーズ』として作られることが明らかになってしまうが、この映画単体の次回作としてテレンス・ハワードもアイアンマンに乗り込む『アイアンメン』を撮って欲しかった(3作目はグウィネスもアイアンウーマンに)。まあ、たかがヒーローもの連作の一作というまさに「無責任なシステムの一部」にできることとして、いい大人を集めてこれを撮ったというのは価値があることだろう。
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