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November 9, 2008

アーセナル対マンチェスター・ユナイティド 2-1
梅本洋一

[ sports , sports ]

 ここ3試合アーセナルはまったく精彩を欠いている。スパーズに、89 分から2点差を同点に持ち込まれてから、ストーク・シティ戦は、ロングスローから2点を失い、チャンピオンズ・リーグのフェネルバフチェ戦はホームでスコアレスドロー。精彩を欠くばかりではなく、ストーク・シティ戦ではアデバイヨールを失い、サニャも怪我。さらにファン・ペルシは一発レッドを喰らい……。もう人がいない状態。これではマンU絶対有利という予想も頷ける。
 そしてこの日の布陣は? 幸いサニャは復帰したが、フォワードで使える選手はベントナーしかいない。それで4-2-3-1。トップ下には何とディアビ! この面子を見れば、ファーガスンは3-0で行けるな、と考えるかも知れない。そしてゲーム開始直後、クリッシのバックパスを何とアルムニアがキャッチしてしまい、間接FK。事なきを得たが、先が思いやられる展開。だが、解説の三浦泰年(この人の解説はなかなか面白い)が言うとおり、「アーセナルは若いがゆえに、何も引きずらない」。押し込まれても我慢するのではなく、アタックに入ると、いつものようにパスを繋いでゴールに迫る。もちろん、ベントナーからドーンと一発シュートが決まるシーンを想像する人はほとんどいないだろうし、彼がボールを持つと、これでアタックが終わりになるな、と誰でも予想できる。アデバイヨール、ファン・ペルシの穴は大きいし、このチームでは主に左サイドを担当していたディアビがアタックに絡めるとは思えなかった。
 案の定、デニウソンは彼なりに頑張るが、ロナウド、ルーニー、そしてベルバトフに良いようにあしらわれ、先制点も時間の問題かも知れないと思われたその瞬間、セスクのFKからこぼれ球をナスリがハーフヴォレーでゴールネットを揺らした。全体を見れば、ディアビがすぐく効いている。パサーやセカンドアタッカーとしてトップ下ではなく、攻守の切り替えの起点になっている。後ろのセスクのスクリーンのように動き、相対するキャリックを積極的にアタックする。窮屈な左サイドから中央の大きなスペースを与えられ、まるでボランチのようにトップ下を務めるディアビのスタイルはとても面白かった。
 後半開始早々、ディアビ→セスクと中央でパスが渡り、セスクが反転しながら、スルーパスを送ると、そこにナスリが走り込んで、クリーン・シュート! これで2-0!だが、もちろん、ぼくらは安心できない。スパーズ戦の記憶が甦る。あと40分以上守れない! 何しろ、このチームは専守防衛に慣れていない。オルウェイズ・アタックが身にしみている。一昨日のレアル対ユーヴェ戦でのユーヴェの美しすぎるディフェンスラインの爪の垢でも呑ませる必要がある。だが、ここ3ゲームの教訓が生きたが、必至に守るアーセナル。ウォルコット→ソング、ディアビ→コロ・トゥレとヴェンゲルも次々にディフェンダーを送り込み、守備意識を強調する。ソングとトゥレがゆっくりとボールをキープし、マンUの逆襲を1点に押さえ込み、何とか試合終了のホイッスルを効くことができた。