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February 12, 2009

W杯アジア最終予選 日本対オーストラリア 0-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 やはり勝ちにいったゲームでスコアレスドローというのは、このチームに、力がないということだ。多くが欧州のチームに所属しているオーストラリアの選手たちが、ベストコンディションになく、怪我人もいる現状。それに対して日本代表は、ほぼベストメンバー。ホームゲームなのに勝ち点3が取れない。
 だが、すごいゲームのスコアレスドローもないわけではない。勝ち点1が問題なのではなくて、このゲームにワクワク感がなかったことの方がより重い課題を突きつけているようだ。説明しよう。俊輔のFKが枠にいき、遠藤のシュートがもう1メートルどちらかにずれていれば、このゲームは勝てた。ドイツW杯でバタバタしたディフェンスには大きな問題はなかった。ヴィドゥーカやキューウェルのいた時代のオーストラリアと今のチームはずいぶん違うし、今のオーストラリアは策士ヒディンクが率いているわけではない。つまり、このオーストラリアは、大したチームではない。最高のオーストラリアに対して、もう少しゲーム・メイクがうまく行けばひょっとして勝てたかも知れなかったドイツW杯、そして、当時よりも数段落ちるオーストラリア代表に対してスコアレスドローの現在の日本代表。かつてのオーストラリアにスコアレスドローなら、まだ言い訳できたろう。だが、今のオーストラリアに対してスコアレスドローという結果にはやはり悲観的になる。日本代表はさっぱり進化していない。
 誰でもオシムの代表を懐かしいと思うにちがいない。セルジオが批判するとおり、大した結果は残していないのだが、それでも「人もボールも溌剌と運動するフットボール」は見え隠れしていた。どんなチームになっていくのかを見るのが楽しみだった。それに対して今のチームは……。
 そう、見ていてつまらない。ミッドフィールドに遠藤にボールが渡ってもパスするコースが見あたらない。内田が右サイドを抜けても、なぜか途中に立ち止まり、パスコースを探す。中盤での無駄なパスの速度があまりにも遅くインターセプトを狙われてしまう。左サイドで活路を見出しつつあった松井を大久保に代え、その大久保が後半も押し詰まったところで、自陣のペナちかくで無駄なファールを犯してしまう。ダイナミックなパスフットボールが見られたのは2〜3回だけ。あとは、無駄なパス回しに終始した。何よりもパススピードが遅く、せっかく奪ったボールを素早く展開できない。あえて言えば、遠藤や俊輔の個人技が最終的な頼りどころであって、このチームのコンセプトをプレーから見ることができないのだ。岡田武史はコンセプトを強調するが、それがプレーの中に垣間見えないチームは、チームの体をなしていないということだ。両サイドバックがゴールラインまで疾走し、早いマイナスのクロスを送り、ゴール前に走り込んだミッドフィールダーがシュートするという場面は、一度もなかった。もちろんFWの人材不足は周知のことだが、どうやって点を取るのかが、FKとふたりの卓越したミッドフィールダーの個人技頼みでは、監督という存在は不要だろう。