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November 24, 2009

関東大学ラグビー対抗戦 慶應対早稲田 20-20
梅本洋一

[ sports , sports ]

 本当に弱いカナダに2連勝でも大して喜べないし、ゲームとして面白くなかった。カナダのこの面子ならジャパンが1対1で勝っている。それだけのこと。
 そして「伝統」の早慶戦。慶應の緻密な分析が光る。右から左に持ち込み、左サイドで数的優位を作って勝負。シャロー「気味」の早稲田のディフェンスラインでは追い切れない。この日の早稲田は山中を外し、村田賢史をSOに。悪くはないが良くもない。堅実な選手に見える。確かに前のコラムで山中を外せと書いたので、この選択を支持したくなるが、これでは田邊がSOでもいいのではないか。
 とはいえ、前半の慶應の2トライは見事で、早稲田のディフェンスラインは、どうしていいか分からなくなっている。ぼくがバックスリーダーなら、それでも絶対にシャロー!さっき「気味」に括弧を付けたのは、早稲田のディフェンスラインが前に出てくる速度が遅いからだ。たとえ11番のサイドがゲインラインされても、中央にボールが戻ってくれば、そこを餌食にすればいいだけの問題なのに、一旦ゲインラインされるとあたふたしてしまう。ひとり冷静な選手がいれば事足りるだろうに。第3列のディフェンス力が下がっているのも気になる。
 慶應の緻密なゲームプランに比べると、早稲田はまるでゲームプランなどないかのように、力攻めの連続。ラグビーはとりあえず得点をとるゲームなのであって、得点の取り方にはトライもあるけれども、PGもDGもある。最終的に1点でも多く取った方が勝ちだ。だから、相手が優勢にゲームを進めている間も、自分たちが優勢な場合も、まず得点を取っておいた方がいいに決まっている。誰が蹴っても入るPGの場面が数回あったが、どれも狙わなかった。リードして楽にゲームを進められる場面を自分たちの判断ミスで、いつも力攻めを選んでしまう。つまり、慶應としては、このゲームで20点取ったのはベストの結果だったろうが、早稲田サイドから考えれば、少なくともPGであと6点は入っていたろう。ジャパン対カナダのテストマッチよりは、緊張感のあるゲームだったが、それは両チームの選手たちの過剰な気迫のためであって、ゲームそのものは、やはり見るべき部分は少なかった。もっと大人のラグビーで、勝てるはずだ。