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August 14, 2011

11-12プレミアリーグ開幕戦 ニューカッスル対アーセナル 0-0
梅本洋一

[ book , sports ]

 昨シーズンの4-4のゲームが思い出される。前半の22分までに4-0とリードしながら後半のディアビの退場をきっかけに4点取られてドローになったゲームだ。アーセナルの転落のひとつの象徴だったゲーム。
 そして今シーズンの開幕戦。問題を抱えながらの開幕戦だ。セスクとナスリの去就が決まっていない。おそら8月31日までにふたりはアーセナルを去るだろう。セスクはバルサでレギュラーの位置が得られるのだろうか? ナスリもクリシに続いてマンチェスター・シティ入りするのだろうが、あのチームはちょっと前の読売ジャイアンツみたいに、欲しい選手を皆、集めている。
 アーセナルの先シーズンからの変化は、ヴェルマーレンが戻ってコシエルニにCBのコンビを組んだこと。そしてジェルヴィーニョをリールから獲得し、先発右サイドで使ったこと。セスクの位置にロシツキを入れてスタート。
 確かに「いつもの」アーセナルのようにボールは回る。だが、パススピードが遅い。アタッキング・サードに入ってからの崩しがない。サニャも左のギブスの単調なクロス。ファン・ペルシのワントップでは苦しい。ジェルヴィーニョのドリブルには才能を感じるが、創造性に乏しい。最後にはバートンの仕掛けに激高しレッドを喰らうナイーヴさ。そんな瞬間を除いては、実に眠くなるようなゲームだった。かつてのアーセナルは眠さの正反対だったはずだ。未知のスペースがミドルレンジのパスでどんどん創造されていった。だが、このゲームのような同じ速度のパスの反復ばかりでは、スペースの生まれず、シュートも生まれない。ほぼ専守防衛からカウンター狙いのニューカッスルから点を取るのも困難だった。
 解説の渡邊一平は、次節から出場予定の宮市への期待を何度も口にしていた。このゲームだったら、「未知の力」に期待するしかない。だが、このゲームに見られたのは、形骸化したアーセナルのフットボールだった。アルシャヴィンにもフレアはなかった。