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June 25, 2016

2016年 カンヌ国際映画祭報告(1)
槻舘南菜子

[ cinema ]

2016年カンヌ国際映画祭 コンペティション部門受賞結果
パルムドール:『I, Daniel Blake』(ケン・ローチ)
グランプリ:『Juste la fin du monde』(グザヴィエ・ドラン)
審査員賞:『American Honey』(アンドレア・アーノルド)
監督賞:クリスチャン・ムンジウ(『The Graduation』)、オリヴィエ・アサイヤス(『Personal Shopper』)
主演女優賞:ジャクリン・ホセ(『Ma' Rosa』、ブリランテ・メンドーサ)
主演男優賞:シャハブ・ホセイニ(『Forushande』、アスガー・ファルハディ)
脚本賞:『Forushande』(アスガー・ファルハディ)

Avant Cannes
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5月14日のセレクション発表後からパリではカンヌ映画祭出品予定作のプレス上映が続々とはじまる。今年は映画祭前にパリで25本の上映があり、批評家たちからはポール・ヴァーホーヴェン『Elle』の傑作ぶりや、クリスティアン・ムンジウ、ブリュノ・デュモン、ペドロ・アルモドバルの高い評判が会期前から聞こえてきた。
「公式コンペティション」部門出品作は映画祭期間中にパリの「ゴーモン・オペラ」で、「ある視点」部門出品作は会期の一週間後に5区の「ルフレ・メディシス」で、「監督週間」部門作は「フォーラム・デ・ジマージュ」で上映の機会があるほか、「批評家週間」部門も2週間遅れでシネマテーク・フランセーズで上映される。L'ACID部門だけが例外で9月までお披露目の機会がないものの、開幕作品のウディ・アレン『Café society』などの話題作はフランスでは同日に劇場公開され、ヴァーホーヴェンの『Elle』もカンヌ翌週の25日には公開されている。つまりパリに住んでさえいれば、実のところカンヌ映画祭に出品された作品を「カンヌ」で必死に追いかける必要はないということでもあるのだが、それでも私はこの場所に何かが起こることを期待している。
今年はテロの影響で「公式コンペ」や「ある視点」部門だけでなく、「監督週間」、「批評家週間」といった併行部門に加え、映画祭の外側の運営となる「L'ACID」部門でも細かな荷物検査が入った。カンヌ映画祭期間中に13日の金曜日があることも理由のひとつだそうだが、荷物検査に必要とされる時間を捻出するために、監督週間に至っては上映後のQ&Aを削るばかりでなく4回分の上映を削るという事態にまで至った。
まるで空港の出国ゲートのような厳戒なセキュリティ体制のなかで行われた本年のカンヌ国際映画祭について、これから何回かに分けてレポートをお送りする。

第69回カンヌ国際映画祭