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April 30, 2016

『台湾新電影時代』シエ・チンリン
隈元博樹

[ cinema ]

 巷のシネコンへ足を運ぶたびに、ふと気になってしまうことがある。それは予告編に続いて本編が始まろうとしてもなお、スクリーンのフレームサイズが一向に変わらなくなったということだ。たとえばこれがフィルム上映であれば、必ず上映前に映写技師の手によってスタンダード、ヴィスタ、スコープと、作品ごとのフレームサイズに応じたマスキングが行われていたと思う。それと同時にマスキングは画の左端に連なるサウンドトラック...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:05 AM

April 29, 2016

『SHARING アナザーバージョン』篠崎誠
結城秀勇

[ cinema ]

「このバージョンは、上映時間の長いバージョンのたんなる短縮版ではなく、文字通り"別の"バージョンなんです」とは、上映前の監督挨拶において強調されていたことであるが、このバージョンが、長いのと短いの、表と裏、右と左といったような対を補完するものとしてあるのではなく、ただ別なものとしてある、というのはなんだか重要な気がする。 というのも『SHARING』という作品自体が(そしてとりわけ「アナザーバージ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:02 AM

April 24, 2016

ブリィヴ・ヨーロッパ中編映画祭報告(2016年4月5日~ 4月10日) 
槻舘南菜子

[ cinema ]

ブリィヴ・ヨーロッパ中編映画祭(Festival du cinéma de Brive http://www.festivalcinemabrive.fr/home.php )は、五月革命後にカンヌ国際映画祭の監督週間部門を創設したフランス映画監督協会(Le SRF) の主導で、2004年に始まった。5日間の短い会期に関わらず、毎年数百人の映画人――批評家、プログラマー、映画監督、プロデューサー等...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:34 AM

April 10, 2016

『リリーのすべて』トム・フーパー
若林良

[ cinema ]

 本作『リリーのすべて』は、第二次世界大戦前のドイツで世界初の性別適合手術を受け、男性から女性になった実在の人物の物語である。その製作背景としては様々であろうが、おそらくは、主人公のアイナー・ヴェイナー=性別移行後はリリー・エルベが、歴史上はじめて性別転換にふみきったことの、歴史的な意義が再評価されたことが大きいだろう。いわば現在におけるトランスジェンダーの人々の希望を提示した、偉大な先達であると...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:42 PM

April 7, 2016

『ルーム ROOM』レニー・アブラハムソン
常川拓也

[ cinema ]

 ブリー・ラーソンの主演作としては前作にあたる『ショート・ターム』では、彼女の演じる役名はGraceだった。それに対し本作『ルーム』では、彼女はJoyという名を持って現れる。恩寵とよろこび──ときに皮肉な、そしてときに文字どおりの意味を物語の中にもたらす名前の響きが、短期保護施設を舞台に、ケアテイカーと心に深い傷を負ったティーンエイジャーとの間で築かれる疑似家族/親子を描いた『ショート・ターム』と...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:18 PM