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November 29, 2019

『台湾、街かどの人形劇』ヤン・リージョウ

[ cinema ]

 伝統文化と父子関係についての興味深い、優れたドキュメンタリー。  八十年代末から九十年代前半の映画鑑賞体験を持つ者ならば侯孝賢監督作品の鮮やかさを記憶しているだろうし、その作品世界で独特の存在感を放っていた李天禄(りてんろく、リー・ティエンルー)のことは忘れもすまい。その李天禄の息子で、台湾伝統の"布袋戯"(ほていぎ、ポーテーヒ)という人形劇の演じ手である陳錫煌(チェン・シーホァン)を十年間取材...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:38 PM

November 28, 2019

第20回「東京フィルメックス」日記①

[ cinema ]

2019/11/26  今年のフィルメックスは出遅れて3日目からスタート。4日間しか参加出来ないけれど、可能な限り見ていきたい。  今年20周年を迎えるフィルメックスでは歴代受賞作人気投票が行われて、そのうち3本が上映される。上位5本のうち2本は「権利元や素材の確認が出来ず」とのこと。映画祭で観たきりになってしまう作品はたしかに多いが、そもそも上映したくても上映できない自体は悲しい。そういうことは...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:28 PM

November 24, 2019

『楽園』瀬々敬久

[ cinema ]

 不条理に満ちた現代に、暴力を描くとはどういうことか。映画が暴力を描くときにしばしば動機を必要とするのは、理由のない無差別な暴力が単なる狂気でしかないからだ。そうやって暴力の理由を探すとき、映画は法廷に似るだろう。たとえば李相日の『悪人』は、出会い系サイトで会った女に裏切られた男がその女を殺す、という事件の犯人もその動機も冒頭から明らかで、彼が逮捕されるまでに生じた心の変化を通して「悪人」への理解...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:17 AM

November 12, 2019

東京国際映画祭日記2019

[ cinema ]

10/29  この日は午前中に授業があったので午後からの参加。今年初めてプレスパスを申請したため、ビクビクしながら列に並ぶ。企業の名前を首から下げてる方なんかを見ると、映画祭に来たんだと強く意識させられる。そんなこんなで今年の開幕に選んだのはドゥニ・コテ『ゴーストタウン・アンソロジー』。監督の名前は知っているが、他の作品を全然知らない理由に考えを巡らせていたが、この作品がベルリンに来ていたことを思...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:55 PM

November 8, 2019

『ペインテッド・バード』ヴァーツラフ・マルホウル

[ cinema ]

 ある鳥飼いが捕らえた鳥に色を塗って群れに返す。すると、群れに戻った鳥は同種のものでありながら異端者として迫害され、墜落して死亡する。作中にあるこんな挿話が題名の由来である。主人公の少年はユダヤ人の孤児であり、これまでずっと見知っていたであろう村人たちから"ユダヤ人だから"という理由でつま弾きにされ、ナチスにつき出される。そこに、あらゆる形態の児童虐待を詰め込んだ地獄の映画で、どちらかと言えば『炎...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:26 PM

November 6, 2019

『ジョージ・ワシントン』デヴィッド・ゴードン・グリーン

[ cinema ]

 デヴィッド・ゴードン・グリーンの処女長編である本作は2000年の映画だから、1997年の『ガンモ』とほぼ同年代の作品と言っていいだろう。廃墟はハリケーンによって生み出されていて、あたりにはゴミや動物の死骸や糞が散乱し、そこら辺をクソまみれの犬がうろついていて、それが当たり前であるような光景が広がっている。ひとつの街を舞台にしていながら、ひとつのショットか隣接を示すふたつのショットくらいで描かれて...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:35 PM