雑誌nobody 
ISSUE.14
全96ページ
単価900円

特集:
ESCAPE FROM
LAndscape

editorial

「旅行というのは、語り得ない幸福の可能性をもっとたくさん生み出すこと以外に役に立たない。偶然列車に乗り、その列車が時間通りに出発するかを確かめる。体操かダンスのように「1、2、3」というつながりを頭の中で考える。風景の中にいつも同じ姿でいる。でも風景はいつも同じではない。ほんの少しの出来事とちょっとした長さとわずかばかりの調査と幸せなことにセックスにだけ還元された身体を伴っている。もちろん代償は重い。執拗な失敗、良くない連鎖、得るもののない敗戦、哀れなまでの失敗、それらが正に嘲弄という掛け金の上に賭けられているなら、もっと激しく胸を抉られることになる」(セルジュ・ダネー『不屈の精神』)
 はじめに念頭にあったのが風景ではなかったことは確かだ。少なくとも風景という「もの」が確かに存在するという認識はなかった。絵葉書によって送られてくるような場所、電波に乗ってやってきて走査線が形作るような景色、あるいは映画が生み出すコマの運動の中にしかないような風景、そういったものを考察しようなどという気はなかった。それらがいまいる場所と地続きである限りにおいて、nobodyはそれらを見てきた。..........

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contents    
     
2   nobody meets anybody    
   

守中高明/シャンヌ・バリバール/ロドルフ・ビュルジェ
藤本壮介/イクエ・モリ

   
         
18   ESCAPE FROM LAnddscape    
20   畠山直哉 インタヴュー    
24   原風景、都市の根、確かな風景   梅本洋一×藤原徹平
36   『まだ楽園』監督 佐向大 インタヴュー    
40   automobilyric 風景の速度   結城秀勇
42   バス、また、バス   黒岩幹子
50   森まゆみ インタヴュー    
55   吉田修一/名付けられた風景   月永理絵
         
59   Current Montage    
   
Films 60 『ドリーマーズ』ベルナルド・ベルトルッチ
    62   『子猫をお願い』チョン・ジェウン
    64   『あなたにも書ける恋愛小説』ロブ・ライナー
Discs   68   『SONIC NURCE』ソニック・ユース
    71   『THE 9th SENSE』スチャダラパー
    72   『Cabaret modern - A Night at the Magic Mirror Tent』
ノエル・アクショテ
Books   74   『映画覚書vol.1』阿部和重
    76   『ノーホエア・マン』アレクサンドル・ヘモン
    78   『霊ナァンテコワクナイヨー』美輪明宏
    79   『在日』姜向中
Exposition   80   キャンディス・ブレイツ展「AIWAから禅まで」
DVD   82   『狩人の夜』チャールズ・ロートン
   
         
84   黒沢清、2004年映画と旅   前田晃一
         
92   l'Horloge 再見 ピエール・アルフェリは憶えている