OURS TEXT 001

[新刊案内]2012年12月20日発行
[書名]OURS TEXT 001ーー未来の住人のために
[著者]伊東豊雄/北山恒/隈研吾/小嶋一浩/妹島和世/内藤廣/山本理顕
定価945円(900円+税)/ISBN978-4-902794-39-7

目次

はじめに(寺田真理子/Y-GSAスタジオ・マネージャー)

シンポジウム「建築をつくることは未来をつくることである」

第1部「建築の地域性」
(伊東豊雄×妹島和世×山本理顕 司会:小嶋一浩)
1. つくる主体と使う主体
2. 経済中心の社会において地域・コミュニティにどのように関わるか
3. ただの一人の人間としての自分/建築家としての自分
4. 建築家の役割
5. 質疑応答

第2部「社会システムと住宅」
(隈研吾×内藤廣×山本理顕 司会:北山恒)
1.「住宅の私有化」というフィクション
2. 日本の住宅政策の破綻
3. 地域でインフラを構築する
4. 建築家はインフラにどう関わるか 5. いかにして社会を変えていくか
6. 質疑応答
あとがき(山本理顕)

内容

日本の都市の未来はどこに向かうべきなのか

日本は今、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災を経験したことで、これまでの資本主義経済を中心とした社会システムや都市の概念をくつがえされ、新たな局面に立たされています。そして、社会全体が新たな思想をもって都市を考えなければならない転換点にあり、それはまさに「新しい都市の時代」の到来と言えるでしょう。 横浜国立大学大学院建築都市スクール“Y-GSA”では、横浜をケーススタディとして都市に問題提起をした、ヴィジュアルとテキストによる書籍『OURS』を2008年に出版しました。その『OURS』の次なる展開として、“Y-GSA”と横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院“IUI”が協同し、世界の都市が考えるべき課題やテーマに対してクリティカルに言及していく、テキストをベースとしたシリーズの書籍『OURS TEXT』を創刊します。
『OURS TEXT』は、「新しい都市の時代」に、日本の社会、都市の未来のあり方を問うべく、世界へ向けて発信するメディアとして、今後、様々なテーマを投げ掛けていきます。

[これからの都市を考えるシリーズ本
『OURS TEXT』創刊にあたって]

本書『未来の住人のために』は、2007年から2010年まで、横浜国立大学大学院/建築都市スクール“Y-GSA”の校長を務めた建築家・山本理顕の横浜国立大学退任記念イベントとして開催したシンポジウム「建築をつくることは未来をつくることである」の内容をまとめたものです。
シンポジウムは、2011年12月22日、横浜市開港記念会館講堂にて、Y-GSAの現校長の北山恒および教授である小嶋一浩が司会を務め、震災を機に結成された「帰心(きしん)の会」のメンバー(伊東豊雄、隈研吾、妹島和世、内藤廣、山本理顕の5名)を招いて行われました。

[著者プロフィール]

伊東豊雄(いとう・とよお)

1941年生まれ。1965年東京大学工学部卒業。近作に「多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)」「座・高円寺」「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」「みんなの家」など。第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2012年)ではコミッショナーを務めた日本館が、金獅子賞を受賞した。日本建築学会賞、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤル・ゴールドメダル他受賞。

北山 恒(きたやま・こう)

1950年香川県生まれ。1980年横浜国立大学大学院修了。1978年にワークショップ設立(共同主宰)。1995年architecture WORKSHOP設立。1995年横浜国立大学助教授、2001年同大学教授。現在、同大学院Y-GSA校長。第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2010年)日本館コミッショナー。代表作に「公立刈田綜合病院」(共同設計)「洗足の連結住棟」など。日本建築家協会賞、日本建築学会賞他受賞。

隈 研吾(くま・けんご)

1954年横浜生まれ。1979年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、2001~09年慶応義塾大学教授。2009年より東京大学教授。近作に「サントリー美術館」「根津美術館」など。著書に『自然な建築』(岩波新書)『負ける建築』(岩波書店)『新・都市論TOKYO』(集英社新書)など。

小嶋一浩(こじま・かずひろ)

1958年大阪府生まれ。1984年東京大学大学院修了。1986年にシーラカンス(後CAt)共同設立。1994年東京理科大学助教授、2005~11年同大学教授。2012年より横浜国立大学大学院Y-GSA教授。代表作に「千葉市立打瀬小学校」「スペースブロック上新庄」「ホーチミン建築大学」など。日本建築学会賞、ARCASIA建築賞ゴールドメダル他受賞。)

妹島和世(せじま・かずよ)

1956年茨城県生まれ。1981年日本女子大学大学院修了。伊東豊雄建築設計事務所を経て、1987年に妹島和世建築設計事務所設立。1995年西沢立衛とSANAA設立。主な受賞に、日本建築学会賞、プリツカー賞2010など。現在、「すみだ北斎美術館」「ルーブル・ランス」他が進行中。

内藤 廣(ないとう・ひろし)

1950年横浜生まれ。1976年早稲田大学大学院修了。フェルナンド・イゲーラス建築設計事務所、菊竹清訓建築設計事務所を経て、1981年内藤廣建築設計事務所設立。2001~11年まで東京大学にて教鞭を執る。教授・副学長を歴任。現在、東大名誉教授、総長室顧問。代表作に「海の博物館」「牧野富太郎記念館」「島根県芸術文化センター」「日向市駅」など。日本建築学会賞、村野藤吾賞、毎日芸術賞、ブルネル賞他受賞。

山本理顕(やまもと・りけん)

1945年中国北京生まれ。1971年東京芸術大学大学院建築専攻修了。1973年山本理顕設計工場設立。2007~11年横浜国立大学大学院/建築都市スクール「Y-GSA」校長。2011年より日本大学大学院特任教授。近作に「横須賀美術館」、「福生市庁舎」など。現在、「チューリッヒ空港施設」「天津図書館」他が進行中。日本建築学会賞、日本芸術院賞、毎日芸術賞他受賞。