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2007年10月14日

Que reste-t-il de “French Flair” : イングランド対フランス 14-9

フランスのメディアの多くが、まず失望を書き、そして、敗因の分析をしている。このゲームだけに限れば、フランスは勝てるゲームを落とした。問題はゲームメイクにあったと思うが、そうしたゲームメイクをしている原因になっているのは、前回W杯以降のラポルトの方法や、今回のW杯におけるフランスの初戦の敗北とアルゼンチンの好調が遠因になっているだろう。
 まずゲームメイクの失敗だが、このゲームに限っては、フランスはおそれることなくフルアタックすべきだった。最近の対戦成績でも優位にあるのだから、常に思い切ってライン攻撃を仕掛けるべきだった。トライユのミスからイングランドにトライを奪われた直後から、フランスは確かにアタックした。そして、FW周辺からラインにボールが渡ると、ほとんど常にゲインラインを切っていた。だが、そこでいったん詰まると、決まってキック。テリトリーのゲームに戻ってしまう。対オールブラックス戦なら仕方がないが、このゲームはテリトリーよりもポゼッションで上回り、常に積極的にウィング勝負、そしてフォロー、パスという戦術の方がスピードのないイングランド・ディフェンスを振り切るのに適切だったろう。できるだけブレイクダウンを避け、ワイドに持っていく。これは忍耐強くやらねば、もちろんラインブレイクなど簡単にできない。だが、誰でもキックのできるフランスは、すぐに蹴ってしまう。
 もっと微視的に見れば、67分のフランスのアタックがノックオンを取られて不発に終わり、その後、ウィルコに1PG、1DGを決められたことが敗因だ。だが、ある程度キッキングゲームを封印しておけば、67分ばかりではなく、もう数回はトライチャンスになっていたろう。だから、これはキッキングゲームをするというラポルトの作戦の失敗である。ボクシスを使っているのだから、キッキングゲームという選択はあまりに単純だ。彼のキックの長さはテリトリーばかりではなく、ディフェンスでもっとも有効だろう。
 そしてラポルトの失敗は、オールブラックスに一度だけ成功した作戦をこのゲームにも採用したことだ。前半はキックを中心に落ち着いたゲーム運びをし、後半にミシャラク(シャバル、スザルゼウスキ)を投入しトライを狙いにいくあの作戦だ。彼の唯一の会心の勝利が先週のオールブラックス戦だった。だから彼は反復した。それまでラポルトのストラテジーによってゲームに勝利を拾ったことがなかったのだ。力が下のチームにはともかく、同等あるいはそれ以上のチームにラポルトは常に負け続けた。
 キッキングゲームは、確かに99年のW杯でラメゾンを中心にしたフランスがオールブラックスを敗った方法ではあったが、フランスがそれをやったのが、それまでのフランスがフレアに拘り、さらに相手がオールブラックスだったからだ。そして、今回、初戦で誠実なFWを前面に押し立て、背後で冷静にキックするエルナンデスのアルゼンチンに敗北したフランスは、ボクシスにエルナンデスの役をやらせようとして、最後に墓穴を掘った。
 レキップ紙でW杯の連載をしているオリヴィエ・マーニュは、「別のアイデンティティ」を持つべきだとラポルト批判を開始している。8年という長期政権は、やはり長すぎると言えるだろうし、同時にラポルトのやったことを冷静に検証すべきだろう。ワイド、ワイドの最初の2年、セレクションチームにそれが相応しくないと判断するや、ワールドスタンダードのラインを採用し、そして、何度もメンバーを交換した挙げ句、キッキングゲームへと舵を切ったこのヘッドコーチの方法をじっくり検証すべきだろう。だが、一番、重要なことは彼が指揮を執った2度のW杯で、レブルーは、いずれもセミファイナルでW杯を去っているという事実である。

投稿者 nobodymag : 2007年10月14日 14:42

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