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2007年10月15日

White Hunter Black Heart:南アフリカ対アルゼンチン 37-13

 プーマスの健闘が期待されたが、充実のスプリングボクスの前に完敗した。トライ数4-1では、勝負にならない。エルナンデスに注目が集まったのも当然だが、彼もまたその能力を十全に発揮することができなかった。
 プーマスのラグビーが実に単純であるだけにスプリングボクスも対応が簡単だったのではないか。エルナンデスのキックに対応するために、まずFWで徹底したプレッシャーをかけ続ける。これは、ボクスがいつもやることで、プーマス用のものではないが、それでもジュアン・スミス、スカルク・バーガーを中心にハーフ団にかける圧力はノーサイドのホイッスルまで続いていた。このふたりなら、まさに適任だ。もちろんスミスが何度かオフサイドを取られ、最後にはエルナンデスへのハイタックルでシンビンを喰らったが、それもおまけのようなものだ。それまでのゲームのように、エルナンデスから超高いハイパントが上がることはほとんどなかった。そして長いキックに備えて、バックスリーがやや深めにポジションし、タッチになればクイックで入れ、プーマスに時間を与えない。そして、いつもようにかけ続けるプレッシャーの中からインターセプトを狙う。これも彼らはいつもトライネイションズでやっていること。
 プーマスのFWは次第に足が止まり始め、余裕をなくしたピチョットのパスも次第に上擦り始める。するとそこにボクスFWが殺到、エルナンデスもラックに巻き込まれる。ポゼッションでイーヴン、テリトリーでは勝っていても、プーマスの選手には次第に疲労が見え始める。プーマスにとってもチャンスはセットピースということになるが、スタッツを見ると、18回あったマイボール・ラインアウトを7回失っている。それに対してボクスは、19回中失ったのはわずか1回。マットフィールドとボタの功績大だ。こうなるとハバナ、ピーターセンの両ウィングの快走が始まり、イングランドのようにゴチゴチ前進するのではなく、スパッとトライを取る。デュラントも巨体を揺すってボールに絡んでいく。ハーフ団も生き生きとプレイしている。
 ゲーム開始前から泣きながら入場してくるロス・プーマスの選手たちに対して、ボクスの選手たちは何となく楽しそうだった。ジェイク・ホワイトの力のでもあるが、いつも彼の隣に佇むエディー・ジョーンズの表情も穏やかだった。ボクスの課題はいつものことだが、スクラム。アルゼンチンにやや押されているようではイングランドには返り討ちに合うだろう。エディー・ジョーンズはスクラムの少ないゲームを目論むことだろう。
 プーマスのラグビーは開幕戦ではフランスに勝ったことで、センセーションを巻き起こしたが、やはり引き出しの数が少ない。最初から鋳型に落とし込んだラグビーは硬直する。オールブラックスに負けないためにチームを鋳型に入れたフランスが最後までフレアを発揮できなかったように、パターンに落とし込むラグビーにはいつも弊害がつきまとう。イングランドについても同じことが言えるが、マイク・キャットの燻し銀のプレーとジェイソン・ロビンソンの個人技がある。だが、ロートル集団でハバナ、ピーターセンを捕まえることができるのか。まずFW勝負。
 あとは開幕戦と同カードの因縁ゲームとなった3位決定戦と決勝を残すのみ。シャバルがあるインタヴューで「ぼくらの冒険は終わった」と発言していることが気にかかる。Encore un, Sébastian! まだ冒険は続いているのだよ、セバスティアン!

投稿者 nobodymag : 2007年10月15日 23:43

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