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juin 25, 2010

これからアズーリはどうなるのだろう?

今回のW杯で、イタリア代表が最初のゲームをやった朝、全国紙のスポーツ欄の下の方に、フィアットの広告が大きく掲載された。「Fiat500」だ。実はぼくもチンクエチェントの新型はけっこう気に入っている。チンクエチェントの伝統を踏襲した上でのリノヴェーションというデザイン。東京みたいな密集都市の街乗りにはぴったりのクルマだと思う。
 でもFiatの広告がなんだか虚しく見えてしまう。広告の上のイタリア代表の記事だ。グループリーグでの輝きのないスコアレスドローは、イタリア代表の代名詞みたいなものだ、と考えれば、そのときは、それでよかったが、スロヴァキアとのゲームで完敗し、南アを後にしなければならない現状を見ると、かつてのアズーリと今のアズーリは、単にユニフォームの色が同じなだけで、そこには千里の距離があると思えてしまう。
 カンナヴァーロの遅れ気味のタックル、ガットゥーゾが走り回っても、もう相手はいない。4年前ならけっこう輝いていたイアキンタもぜんぜんダメ。良いところがまったくない。曇ったまままったく表情を動かさないマルチェロ・リッピを見ていると哀感が増す。4年前なら絶頂にあった人たちを、今ここでピッチの上に見ていると、時代劇の主人公がまるでタイムマシーンに乗って同時代にやってきて、時代の大きな差異に驚いて立ちすくんでいる。そんな感じだ。
 でもリッピは、怪我が癒えないピルロにアップを命じた。もちろん、この1戦を勝利で終わらねば明日がないわけで、コンディションが悪くても、ここ10年来アズーリをしきってきたピルロに奇跡を起こさせたいと念じているからだろう。いやそうではない。マルチェロ・リッピにしても、もう敗戦を覚悟していて、南ア最後の10分間で、おそらく世界の舞台から退くことになるピルロの姿を見せたいと考えているのかもしれない。
 そして、満を持してアンドレア・ピルロがピッチに立つ。彼になかなかボールが回ってこない。周囲の選手たちはピルロに花を持たせるなんて余裕はないのだ。だが、しばらくしてピルロにボールが来る。ファーストタッチ、あらぬ方向にトラップミス! まるで今のアズーリのようだ。深い溜息をひとつ。

投稿者 nobodymag : juin 25, 2010 10:20 AM