nobodyによる2002年映画ベスト5+オリジナルベスト5

・梅本洋一

 

cinema

『アカルイミライ』黒沢清
『.ニューヨークの恋人』ジェイムズ・マンゴールド
『ブラッド・ワーク』クリント・イーストウッド
『コードネイムはサッシャ』ティエリー・ジュス
『ウィンブルドンの段階』マチュー・アマルリック

 ベスト○○というのはあくまでその年に生きた個人の軌跡であって、絶対評価ではない。上記の5本は、私を感動させた5本であって、私を感心させた5本ではない。ゴダール、ロメール、スコセッシが入っていないのはそういう理由だ。


other

『ムッシュ』かまやつひろし(書籍)
『On the Situation』北山恒(書籍)
フランス対セネガル(ワールドカップ開幕戦)
『Code Name : Sacha』フィリップ・カトリーヌ他(CD)
ピエール・ヴィルプルー インタヴュー(ラグビー・マガジン8月号)

 上記の5項を結ぶものは何か? 状況を反映しながらも、状況の批評になるような「もの」やプレイや音楽を生み出すという作業だ。

 

 
・内山理与

 

cinema

『ガーゴイル』クレール・ドゥニ
『夜風の匂い』フィリップ・ガレル
『グレースと公爵』エリック・ロメール
『ゴースト・オブ・マーズ』ジョン・カーペンター
『顔のない眼』ジョルジュ・フランジュ


other

『私立探偵濱マイク 名前のない森』青山真治(ドラマ?)
『恐怖の映画史パート2』boid(CD-ROM)
『グランツーリズモ』クレイジー・ケン・バンド(CD)
『ヴァンパイア 吸血鬼伝説の系譜』森野たくみ(書籍)
豆腐よう(沖縄料理)

 口いっぱいに濃厚な泡盛の香味が広がる豆腐ようは、春に訪れた沖縄で食べて以来忘れられないので挙げておく。『名前のない森』はビデオだと美空ひばり「悲しき口笛」などがマイクのテーマ曲に変わっている。版権の問題だろうか。テレビ放映を見ててよかったと思いながら、やはり待ち望むは完全版である。

 

 
・黒岩幹子

 

cinema

『UNLOVED』万田邦敏
 ありきたりで苛立たしいはずの男女のやりとりが、画(構造)を通して見ると苛立たしくなくなる不思議。

『ゴースト・オブ・マーズ』ジョン・カーペンター
 時間を止めたり戻したりするくせに、映画はひたすら疾走。パンク。

『ゴースト・ワールド』テリー・ズウィゴフ
 ソーラ・バーチにぐっときた。出てくる人がすべて地に足がついてないようでいい。

『パニック・ルーム』デヴィッド・フィンチャ−
 映画としたはたいした作品ではないかもしれないが、演出自体が監視されているようで面白かった。

『ブラッド・ワーク』クリント・イーストウッド
 マイ・イーストウッドの中でも5本の指に入る作品。明快だがいつにも増してヘン。


other

2002年ナイスカヴァ− ベスト5
 何でも今年はカヴァ−、トリビュートアルバムが人気だったそうなので、今年発売されたカヴァ−ものの中から5本選んでみました。

「NUCLEAR WAR」(Sun Ra)by YO LA TENGO
 サン・ラってだけでも驚くが、しかも無駄に4バージョンもつくる無意味さに脱帽。マザーファッカー!

「世界は1分間に45回転で回っている」(Pizzicato Five)by岸野雄一
 カヴァ−するっていうのはこういうことだ!と断言できるほどコンセプトが明瞭でかっこいい。

「sound & vision」(David Bowie)by THE SEA AND CAKE
 これが収録された新譜の中でこのカヴァ−が一番よかった。ゆるいボウイもまたよし。

「スピカ」(スピッツ)by 椎名林檎
 彼女は自身でカヴァ−アルバムも出したが、このスピッツ・カヴァ−のほうが清くて(単に手抜きなんだろうけど)好きだ。

『BACK TO MINE』NEW ORDER
 実はカヴァ−でなくて、単にニューオーダーが選曲・ミックスしただけの企画ものアルバム。でもその選曲センスがあまりにもすばらしいので反則業で選んだ。これはよく聴きました。

 

 
・志賀正臣

 

cinema

『白と黒の恋人たち』フィリップ・ガレル
『ブラッド・ワーク』クリント・イーストウッド
『コードネイムはサッシャ』ティエリー・ジュス
『ザ・ロイヤルテネンバウムス』ウェス・アンダーソン
『CQ』ローマン・コッポラ

 4番と5番を比べると、4番が別にシネセゾンでやっていてもいいような気もするぐらい商業的には同じような路線の様な気もしますが、5番ばっかり評判があまり良くなかった様な気がします。そういった意味で最後のふたつは非常に惹かれました。


other

『Resort+Music Mediterraanean』小西康陽(CD)
 小西、橋本徹、ゴンチチの三択だったので迷わず小西買いました。選曲が良かったのか地中海というのが良かったのか、2002年はいちばん聞いたCDです。ジェームス・ブラウンは地中海と関係ないのではないかとは思いましたが。

『brazilian mood』mario castro-neves(CD)
 バカラックやルグランのカバーが入ったボサノバのアルバム。ただ発売は去年だった様な気もします。

Franky knackles/yellow
 この人は年末にも来日していたようですが、自分が行ったのは夏ごろ。しょっちゅう来日しているのでしょうか。古めのハウスが聞きたくなったらまた行きたいと思います。

骨董通りblue
 今年で閉店なのだそうで、年末にちょっとのぞいてきました。

BK1編集長日記
 来年も読みたいです。

 

 

・新垣一平

 

cinema

『マルホランド・ドライブ』デヴィッド・リンチ
『ブリフスリー・ユアーズ』アピチャッポン・ウィーラセタクン
『愛しのローズマリー』ファレリー兄弟
『ガーゴイル』クレール・ドゥニ
『Dolls』北野武

 素直に5本選んでみたら、なんだか「旅」がキーワードでした。「旅」といっても、始まりがあって終わりがあってというものではなく、いつもの場所とは違う何処かにいる、そんな状態のこと。『ガーゴイル』の異国のハネムーン。『ブリフスリー・ユアーズ』の郊外の森への小さなピクニック。『愛しのローズマリー』の世界を認知する在り方そのもの(=知覚と価値観)の変容を巡る旅。『マルホランド・ドライブ』の愛とサスペンスを巡るフロイト式夢旅行。そして『Dolls』の旅では、旅の同伴者の存在によって、旅の意味そのものもあなた自身も、何かもう後戻りできない別の存在になってしまっていました。何処か違う場所に行って何か違うものを目にし耳にしてしまう、そんな「旅=映画」たち。ちなみに次点はキアロスタミの『ABCアフリカ』。


other

ヒップホップとテクノで5本(順不同)

Buzz GoreeのDJプレイ
 DJというのは、どんな曲をかけるのかではなく、曲と曲の間をどう響かせるのかということなのだと改めて気づかされた。反吐がでそうな華麗さと、澄みきった凶暴さで、矢継ぎ早に曲から曲へと瞬間移動し、オーディエンスの脳みそをかき回す。今はそれほど知られてませんが、数年後には絶対名を馳せています。すごすぎました。

マウス・オン・マーズのライヴ
 CDで聴くよりずっとずっとファンキー。

『Star Arts』Kagami(CD)
 「remix」11月号のカガミくんインタビューはとても笑えました。テクノの「意味」とか「意義」を聞き出そうとする野田努氏に対して、「テクノも、スーパーマリオと同じ、遊びだよ」みたいに質問をはぐらかし続けるカガミくん。このアルバムにも、ただただ黙って踊って狂って、ぽつりと「トーキョー・ディスコ・サイコー」と叫ぶほかありません。

『Deadringer』Rjd2(CD)
 今年も異様なまでに絶好調だったDef Jux。その中でもRjd2のデビュー・アルバムには、今どきヒップホップがこんなにも煽情的でドラマチックでいいのかと不安にさせられるほど、震えました。

『Lightweight Heavy』Fat Jon as The Ample Soul Physician(CD)
 Five DeezのFat Jonの日本企画盤。なんだかネタのレコードの手垢とか思い浮かべちゃうような、手作り感あふれるヒップホップ・インストです。

 

 

・中川正幸

 

cinema

『ガーゴイル』クレール・ドゥニ
『愛の世紀』ジャン=リュック・ゴダール
『ミシュカ』ジャン=フランソワ・ステヴナン
『白と黒の恋人たち』フィリップ・ガレル
『ブラッド・ワーク』クリント・イーストウッド

 ベストに入れたいものをざっと並べてみると20本近くになってしまいました。それだけ今年は出会いに恵まれていたということでしょう。ほとんど勢いだけで選んだ5本です。順番は見た順です。


other

「第3回nobody上映会」での安井豊氏の講演
  @アテネ・フランセ文化センター(4/20)

「intoxicate3」@青山CAY (6/8)

「フロイトの長椅子に横たわるエイゼンシュテイン」DOWSER
  @アテネ・フランセ文化センター(7/24)

ジョー・ストラマー ライブ @ZEPP福岡(9/28)

『A.A.』部分上映と青山真治監督による講演
  @横浜国立大学(12/14)

 今年1年分の手帳をひっくり返して、思い出深いイベントを選んでみました。ジョー・ストラマーのライブ自体はさほどの盛り上がりもなかったのですが、今になれば行っておいて良かったなと。来年もさらに足使っていきます。

 

 
・中根理英

 

cinema

『ミシュカ』ジャン=フランソワ・ステヴナン
『ガ−ゴイル』クレール・ドゥニ
『アカルイミライ』黒沢清
『ブラッド・ワーク』クリント・イーストウッド
『ウィンブルドンの段階』マチュ−・アルマリック


other

『ムーレイストリート』ソニック・ユース(CD)
『バラッズ』デレク・ベイリー(CD)
「ジム・オルーク ライヴ@CAY9/16」ジム・オルーク
『映画の音楽』ミシェル・シオン(書籍)
『Code Name : Sacha』フィリップ・カトリーヌ他(CD)

 今年こそ(?)はオリヴィエ・アサイヤスの『Demonlover』が見られますようにと願 う映画&音楽ベスト10。『イルマ・ヴェップ』で使われたソニック・ユースの 曲"TUNIC"の副題は"SONG FOR KAREN"。ひょっとして『Demonlover』では『ムーレイ ストリート』の"KAREN REVISITED"が聞けたりしてと妄想していたのだが、どうやら それはないらしい。が、とにかく見たい。

 

 

・松井宏

 

cinema

『アカルイミライ』黒沢清
『ウィンブルドンの段階』マチュー・アマルリック
『ガーゴイル』クレール・ドゥニ
『コードネームはサシャ』ティエリー・ジュス
『モンスターズ・インク』ピート・ドクター

 中央公論連載の「情報自由論」(東浩紀)を読んでクライ気持ちになったときは、この5本です。あるいは「自由」について考えたいとき、ですか。


other

買い物ブギウギ

「バラクーダ」のブーツ/バーニーズ新宿店 ¥33000
 スペインのメーカー。ソールはごつめだけど、全体的には意外とスッキリしてます。重宝。

「アンダー・カヴァー」99年春夏のスウェット/RAGTAG渋谷店 ¥10000
 もちろん古着。ラグタグで安かったんです。いくつかのピースに分解可能なスウェット。ジッパー留めです。買ってしまいました、ついつい・・・。

「白山眼鏡店」オリジナルの眼鏡/白山眼鏡恵比須店 ¥17000
 nobody第4号後記にもある通り、買ってしまいました、伊達メガネ。似合ってないことが最近判明。眠ってます。あんなに気合い入ってたのに・・・。

「SONY」のMDウォークマン/BICカメラ新宿店 ¥32000
 やっぱりSONYはよろしい。もちろん録音もできます。インタヴューに重宝。ババールのシール貼ってます。

写真集『新宿』森山大道/ABC新宿ルミネ店 ¥7200
 写真集買ったのなんて生まれて2度目です。もちろん損は無し。ダイドーさんにはアメーバ的に生きることを学びました。現在『10+1』に写真連載してます。必見。

 以上、今年の買い物ブギウギでした。全然ブギウギしてません。精一杯です。

 

 

・結城秀勇

 

『愛の世紀』ジャン=リュック・ゴダール
『青の稲妻』ジャ・ジャンクー
『アカルイミライ』黒沢清
『H story』諏訪敦彦
『白と黒の恋人たち』フィリップ・ガレル

 50音順です。思考の中心に在った5本ということで選びました。
 2002年の下半期は『愛の世紀』とそれにまつわる青山真治氏の2本の文章(「ユリイカ ゴダールの世紀」、「nobody3号」参照のこと)のことばかり考えていた気がしています。『愛の世紀』の、2部構成の逆になった時制、それが5本の中に『H story』と『白と黒の恋人たち』を選ばせました。『H story』に関しては「nobody5号」に文章を載せましたが、そこには書かなかった川辺のシーンのこと(水面に映ったカラフルな街の灯が、『愛の世紀』のモノクロパートの中に突如としてデジタルなカラーが紛れ込んだのだ、という妄想を抱かせました。そしてあの階段)と、あの「ヒロシマ」のカラーの記録映像のことがどこかにひどくこびりついているのです。『白と黒の恋人たち』は、同名の映画内映画の撮影に入る前と入った後を前編後編と分けるとすると、ちょうどその中間にある、駐車場に入ってくるトラックを見るメディ・ベラ・カセムの、あの惚けたような顔がどうしても忘れられません。奇しくも3本とも映画をつくる話です。いま気付きました。
 メディ・ベラ・カセムがインタヴューで言っていた言葉を借りれば、この3本で、「熱を帯びた鬱状態」、になりました。だいぶかっこつけて言えば、の話です。
 逆に『青の稲妻』と『アカルイミライ』は躁状態になりました。前の3本で時間について考えたとしたら、この2本は場所のことを考えさせました。奇しくもこの2本はデジタルビデオで撮られています。これは前から気付いてました。
 前の3本は、わかっているけど実はよくわからない過去を現在において生き直すのですが、この2本は本当になんだかわからないものが現在以降にやってくる、あるいは、ある、のです。鬱6割、躁4割というのがどうやら2002年の私の気分の割合である様です。