02.10/10

 

 今日はボクシングの世界戦が民放で放映されていた。WBA世界ミドル級タイトルマッチ、保住直孝がウィリアム・ジョッピーに挑戦したのだ。この保住、入場曲が「桜」だったり、「日本人の力を世界に知らしめる」と言ってみたり、かなり強く「日本人であること」に拘っている。こういうのを「ネオ右翼」っていうんですかね、窪塚さん?
 まあ、「ネオ右翼」はひとまず置いて、保住直孝というボクサーはなかなかかっこいい。ガチガチのインファイターでKO率が8割超えるっていうのも爽快なんだけど、キャラクター的にも「馬鹿っぽくて、いい加減だけど、やるときゃやるぜ」みたいな雰囲気が言動から滲み出ていて、ボクサーとして花があるのだ。だから録画してまでこの試合を見ようと思ったのだけど・・・
 ・・・試合が始まったら、保住にはほとんど目がいかなかった。チャンピオンがとにかく強くて、うまいのだ。速いワン、ツーから左ボディ、右アッパー、時折繰り出すトリッキーなオーバーハンドの右、様々な種類のパンチを綺麗に打ち分けて、しかもその間、足が止まることがない。基本通り、円を書くような動きでリングを有効に使っていた。間を詰めるダッシュは保住もそうとう速いんだけど、ジョッピーはそれをうまくいなしてワン、ツー、そしてまた距離を保つ。
 結局10回TKOでチャンピオンが防衛したんだけど、ジョッピーと保住の演出したボクシングは本当に面白かった。だからかもしれないが、テレビ局の演出にはかなりむかついた。CM入りの度に「保住、世界制覇なるか!」と叫ぶアナウンサーは御愛嬌としても、解説者は「保住君、チャンスありますよ」としか言いやがらねぇし。ゲストに竹原慎二を呼んで(竹原からベルトを奪ったのがジョッピーらしい)、「敵討ちを!」みたいな空気を作ろうとするし。竹原もまたそれに乗るし(さすが「ガチンコ」)。全部最悪、試合の面白さを削ぐことしかテレビ局はやっていない。
 だいたいボクシングと「日本人であること」に何の関係があるというのか?安易に「日本人」と口にする無知な保住直孝と、彼のボクサーとしての素晴らしさはまったく無関係だ。「同じ日本人として竹原さんの敵討ちを」と保住が言ったとして、それはショーの一部としては楽しめても、ボクシングの面白さとはまったく、全然、これっっっぽっちも関係ない。せっかくの面白い試合が、テレビ局の演出に引っ張られて「失敗番組」みたいな雰囲気になるのはとても不幸なことだ。
 とりあえず。スポーツに「ネオ右翼」の思想は邪魔なだけです。映画ではどうですか、窪塚さん? 

志賀謙太

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