『アンダー・ハー・マウス』
エイプリル・マレン監督インタヴュー
©2016, Serendipity Point Films Inc.
女性の視点に声を与えるために
全員が女性クルーで製作されたことで話題を呼んだ『アンダー・ハー・マウス』は、何か特段の逸話に流されることなく、簡素にガール・ミーツ・ガールの物語を綴った映画だと言えるだろう。ふたりの女性がフィジカルな欲求のもと、お互いに激しくぶつかる時に生まれるものを正直に探った本作において、監督を務めたエイプリル・マレンは「女性のオーガズムとセクシュアリティを祝福したいと思った」と表明する。長い時間を割いて繰り広げられる生々しく大胆なその性描写は、あけすけで挑発的ですらあるが、映画における女性の性描写そのものの開示に目を向けている。
第26回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)での日本初上映に合わせて来日したエイプリル・マレンに、本作での試みや女性視点の物語を生み出す意義に関してお話を伺った。
——ティム・バートンの『シザーハンズ』(1990)を愛するあなたが、ジャパン・プレミアでの舞台挨拶の際に主演のエリカ・リンダーを「まるで私のジョニー・デップ」だと形容していたことが印象に残りました。彼に負けないぐらいエリカもカリスマ性を持っていて、『アンダー・ハー・マウス』もまたシンプルでイノセントなラブストーリーと言えますね。
エイプリル・マレン(以下AM):本当にそう思っています。エリカに向かって「あなたは私のジョニー・デップよ」と言ってよくからかったりしていました(笑)。そしたら彼女も「あらそう?」と乗ってくれました(笑)。