「「面白い雑誌がない」という声をたまに聞きますが、木を見て森を見ず、ではありませんか?」というわけで集められた雑誌数は752誌。「ブルータス」の雑誌特集である。
本誌で面白かったところ。p13のブラッド・ピットの写真。『ベン・ハー』なんかで見られるような甲冑を身にまとっているが、全然まったく似合っていない。暗いグレーの甲冑に白い太股が映える。艶めかしい。p33のおしゃれヌード誌についての記事。あんなもん誰が買うんだ?
と不思議に思っていたが、出続けるということは売れているんだろう。購買層は男性6割に女性4割、「男性にとってはグロくない、かわいいヌード」が好評の秘訣とのこと。勝手な思いこみだが、かわいいヌードが好きな人はセックスとかは好きくないんじゃないだろうか。少子化がますます進みそうで、日本の将来が心配である。p48、49の「COUNTER
VOID」についての記事。「COUNTER VOID」とは、テレビ朝日新社屋の前にあるガラススクリーンに巨大な数字が写り、その数字が次々変わっていくというもの。常々、六本木に行くたびにあれを見て,「何じゃあれは?
現在時刻……じゃないしな。世界水泳開催日へのカウントダウンかな?」とか色々思っていたので、やっと謎が解けた気分。そうですか、アートだったんですね、あれ。失礼しました。今度はちゃんと見てみよう。
あとは北山恒がレゴについて熱く語っていたり、ゲビン山崎とソニンが一緒に写真に写っていて何だか死ぬほど似合っていたり、色々面白いところはあるのだが、じゃあ本誌全体をひとつのパッケージとして捉えたらどうかというと、これがもう泣くほどつまらない。別に泣く必要はないんだが。何故かと言えば、ひとえに「森」を見るために生真面目に752誌も集めちゃう「ブルータス」の態度。その生真面目さのために失われているのが、編集という行為なのだと思う。ひとつひとつの「木」が面白くても、全体としての「森」が面白いかどうかとは別の話。強引にでも、その「木」を選択して、つなぎ合わせて、新たな「森」を形成すること(つまり編集だ)、それが雑誌の面白さなんじゃないだろうか。
(志賀謙太)
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