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結城秀勇
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2009年10月13日

四日目
結城秀勇

本日は朝から「ナトコの時間」。GHQの民主主義政策として導入されたナトコ(National Company)製映写機とCIE(民間情報教育局)の教育映画をめぐるプログラムである。本日は「アメリカへの手引き」「戦争花嫁」「イギリスの炭坑業」の3本。会場を勘違いしていて遅れて着いた「アメリカの手引き」は日本人留学生のアメリカでの就学前のオリエンテーション期間を描いた映画。「戦争花嫁」は米国兵と結婚してクリーヴランドに渡った大磯出身の女性が、アメリカの生活になじむまでを描いたもの。姑の小芝居と、突然物語に介入してくる竹細工の存在が笑えた。「イギリスの炭坑業」は、プロの俳優ではなく関係者が本人の役を演じた劇映画とのことだったがちょっと寝てしまった。
お昼は再び「花膳」にてランチ。サンマの塩焼き、秋鮭焼きなどにも惹かれるが、前夜も「スズラン」にて海産物を結構食べてしまったので(山形市には海はないのだけれど)、三元豚のカツカレーを。
続いて、取材準備の合間を見て、審査員ガリン・ヌグロホの『ある詩人』を途中だけ見る。インドネシアの「アカ狩り」を描いた映画であるとのことで興味を持ったが、いかんせん途中しか見ていないのでなんとも書きようがない。黒い背景を前に主人公が独白するシーンと、再現シーンとの往復の中で、セリフと環境音がガムラン(資料には「ディドン」という名の詩歌を歌い競う大衆芸能の説明が書いてあったがそれか)めいたリズムの絡み合いを見せる場面がたびたびあった。
そして先日見た『生まれたのだから』のジャン=ピエール・デュレ、アンドレア・サンタナ両監督へのインタヴュー。通訳の関係上デュレに主に話を聞くことになった(サンタナは英語を解さないので)のは残念だが、時間を大幅に超えて質問に答えてくれた。最後に、録音技師としてもドワイヨン、ストローブ=ユイレ、ピアラ、ダルデンヌ兄弟らなど錚々たる監督たちと仕事をしているジャン=ピエール・デュレは、「nobody31」のルイ・ガレルのインタヴューに反応して、「今度彼と仕事をするんだ」と話してくれた。「監督は彼の父親のフィリップ・ガレルで、イタリアで撮影する予定。フィリップ・ガレルの音声を担当するのは初めてだけど、本当にすごく楽しみだよ。だって彼は映画史のあらゆる時代を通じてもっともすばらしい映画監督のひとりだからね」

投稿者 nobodymag : 2009年10月13日 03:04