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2007年10月02日

Don’t cry for me, Ireland:アルゼンチン対アイルランド 30-15

 フランスの圧勝に終わったフランス対グルジア戦から続いて、注目のアルゼンチン対アイルランド戦。
 ダブルスコアになった。もっと拮抗するゲームであって欲しかったが、ダブルスコア。だが、共にトライ数2。トライ数が同じで、ゲームが一方的になったのは、もちろん多くの人々が語る通りエルナンデスの個人技によるところも大きいけれども、もっと微視的に見ればアイルランドFWがアルゼンチンFWに完敗したことが原因だろう。ラインアウト、スクラム、ブレイクダウン、すべての面でアイルランドはアルゼンチンに歯が立たなかった。別の味方をすれば、オガーラのキックも悪く、FWが完敗しているのに、同じトライ数なのは、ひとえにアイルランドのキャプテン、オドリスコルの力だ。この人のプレイは本当に好きだ。
 けれども、スコアは惨敗。アルゼンチンFWのディフェンス力とエルナンデスのキックの前に惨敗。アルゼンチンは確かに強いが、好きになれないのはなぜだろう。ピチョットががたがた文句を言うからでもあるが、FWが頑張って、SOがドーンと蹴るだけじゃないか。もちろん大外で取ったトライは見事だったが、ディフェンスと力勝負が原則。新たな空間が創造され続けるフレアとは対極にあるからだ。スタッツを見ると、アルゼンチンのラインブレイクが1回だけ、そしてアイルランドが2回とある。ポゼッションしてエルナンデスのハイパント、そして、FWが攻め込んでPGかDG。戦術は決まっている。
 つまり、アルゼンチンに勝つには、まずFW戦で負けないこと、そして徹底的にエルナンデスをマークすること。でも次のスコットランドはアルゼンチンFWには勝てないだろう。セミファイナルで当たるスプリングボクスのFWが、アルゼンチンFWをめくれば、エルナンデスはいないも同然だ。

 これで準々決勝進出の8チームが決まった。アルゼンチンがフランスに勝ち、アイルランドに勝った。第1ラウンドはアルゼンチンの躍進と南半球勢の強さが目立った。誰でもが考えるように、本当はカーディフでのロスプーマス対オールブラックスが見たかったが、ベルナール・ラポルトも語るように「B組で一番強かったのはアルゼンチン」なのだ。
 フランスは、オールブラックスにどうやって対処すればいいのか。ラポルトは、この戦いではすべての面で上回らなければならない、と言う。つまり、これといった作戦はない、ということだ。フランスのメディアは水曜日に発表される予定の先発メンバーの予想を語る。問題は常にSO。ここまで固定メンバーで戦わず30人で戦うことを主軸に回してきたツケがまわったようだ。どう考えてもオールブラックスの優位は動かない。オールブラックス・サイドから考えるとベスト8でW杯を去るのは屈辱以外のなにものでもないだろう。だが、ここからはノックアウト・システムの戦いだ。どうやって戦うのか、と指向するよりも、敵よりも強く、早くボールを奪い、アタックする。気持ちだ。

投稿者 nobodymag : 2007年10月02日 10:56

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