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juin 30, 2010

もっと速度を!

 眠い目を擦りながらスペイン対ポルトガル。もちろんこっちが真打ち! 日本対パラグアイが、その停滞とPK戦という不条理によって、フットボールの退屈と憂鬱を体現しているとすれば、こちらは、かつて見た素晴らしい何かを少しでも復興して欲しいというフットボールへの純粋な欲望だ。簡単に言えば、スペインどうした?ということ、もっとやれるはずだろ、ということ。
 前のゲームから、この日までの間、いろいろな戦評を読んでみると、スペインでは、セスク待望論(やはり!)が湧き起こっていることや、ヘスス・ナバスに執着するデルボスケの意図と08年ユーロのスペインは、まったく「思想」が異なるのだという至極まっとうな意見を読むことができた。フェルナンド・トーレスがまだ好調時に遠く及ばない事実も、これからのスペインにとって大きな問題になる。
 でゲームは? 結論から書けば、1-0という僅差での勝利だったとはいえスペインに復調の兆しがあるということ。前のゲームと同様にトーレスをワントップに置いたスペインは、左にビジャ、中央にチャビ、右になんとイニエスタを配し、その後ろにシャビ・アロンソとブスケツ。4-2-3-1。かなりトーレスにチャンスが来るが、外しまくる。まだまだ復活途上だ。だが、イニエスタという相方を得たチャビからの配球は極めてスムーズになった。イニエスタ=セルヒオ・ラモスという右サイドからの崩しが功を奏し始めると、空いた左サイドからビジャが侵入する。こぼれ球をシャビ・アロンソが拾い、両サイドに配球する。次第に右のカプテビラのアタックも見られるようになり、ミッドフィールドの広いスペースが創造され始める。
 対するポルトガルは、2年前のユーロよりも弱そう。クリロナという人材を使いあぐねている感じ。点差が開かなかったのは、トーレスの不調とリカルド・カルヴァーリョの頑張りの賜物。トーレスに全盛時のスペードと素早いポジショニングが再生すれば、3-0でスペインの圧勝というゲームだったろう。
 だが、もちろん、トーレスがまだ好調時に戻らないという以外にも問題はある。たとえば、これだけポゼッションできるのに、ボランチふたりはいらない。ブスケツの存在感は稀薄。シャビ・アロンソひとりで「球拾い」は十分だ。クワトロ・フゴーネスがまた見たい!シルバでもセスクでもいい。4-1-4-1の超アタッキング・フットボールでパラグアイをノックアウトする姿を見てみたい。そのために、もうひとつ解決すべき重要な要素がある。パススピード。まだぜんぜん遅いよ。もっと速度を!

投稿者 nobodymag : 06:04 PM

これから先が長いよ

 このゲームはアタマを守備的に入って、おそらくゲームが膠着してくるはずなので、そこからどうやって「仕掛けていくか」が問われるだろう。誰でもパラグアイを知っていれば、そんな予想が成り立つ。サンタクルスがすごいとっても、ロナウドやビジャのようなスーパーな選手ではない。プレッシングをかけてくるわけでもなく、しぶとく粘って勝つというのがパラグアイだ。98年のフランスW杯での対フランス戦で、ジダンを出場停止で欠いたフランスが圧倒的にポゼッションしながら延長まで勝ちを得られず、ようやくブランのゴールで勝ちを拾ったゲームを記憶している。つまり、パラグアイというチームは、圧倒的に勝つこともない代わりに、すごく強いチームにも善戦以上の戦いが出来るチームだ。
 だから、どうやっても膠着するゲームに何とかして穴を穿ち、そこから勝負に持ち込むのかを思考すること。そのとき、もっとも大事なのは、ベンチワークだ。前半から遠藤を前に出したのは、だから正しい。グループステージではないトーナメントを戦うには勝つしかない。守るばかりでは引き分けが精一杯で、勝つことはない。だが、岡田武史の打った手は65分までこれだけ。遠藤を前に出しても、一向にゲームの縺れた糸がほどけるに至らない。だったら後半のアタマからギアを入れ替えるしかないだろう。阿部と大久保を外して、憲剛と俊輔という手を打つ勇気が岡田になかったのだろうか?これじゃオシムさんそのままじゃないか?けれども他に方法があるのか?中盤を走って走ってボールを奪い、本田に集めて、遠藤、俊輔らが「仕留める」以外、ビジャのような圧倒的なストライカーを欠くこのチームには方法はなかったのではないか?
 もちろん裏を取られて失点したかも知れない。90分で敗れたかも知れない。でもPK戦にもつれ込んで悔し涙に暮れるよりも、「今夜は駒野を誘って死ぬまで呑ませますよ」(松井)という左遷されたサラリーマンの新橋での居酒屋の会話みたいなことをいうよりも、すっきり負ける方がよかったんじゃないか。逆にすっきり勝つ可能性だってあったんだから。もちろん、ぼくも含めてグループステージを突破するなんて、フットボールファンなら誰も思っていなかったろうし、デンマーク戦の本田と遠藤のFKも良かった。その意味で岡田武史のチームは頑張った。それは認めよう。でも、ここから先がすごく長いんだろうな。8年前に4位になった韓国も前大会はグループステージで姿を消し、今大会もやっとベスト16。でも韓国はアルゼンチンと真っ向勝負できたからね。そこでフランスやイタリアを見ていると、「たゆまぬ努力」をホントにちょっとでも惜しむと、先に進むどころか一気に滑り落ちていくんだね。だからPK負けを悔しがる前に、ゲーム戦術についてのナイーブさを捨て去ることが重要だ。これ以上は落ちない、そこからちょっとでも上をめざす。それだけ。フットボールだけじゃないけど。

投稿者 nobodymag : 11:28 AM

juin 29, 2010

ホント、ブラジルすごい!

 ブラジル対チリ。ちょっとチリに期待していたんだ。対スペイン戦の前半の戦いぶりが気持ちが入っていてよかったことと、全員がハードワークをするフットボールに好感を持ったことその理由。
 でも、この前にも書いたけど、ブラジルは、相手が本気であればあるだけ、力を出してくる。チリの本気度が、ブラジルの潜在能力を引き出す役割を演じてしまった。だから「懐が深い」だの「引き出しの多いし、そこにはいっぱいものが詰まっている」だのと比喩を連ねることになる。
 このゲームも前半で完全に勝負が付いてしまった。マイコン→フアン、カカ→ルイスファビアーノでおしまい。後半は、調子の出てきたロビーニョが一発決めて3-0。チリも一生懸命にやるんだけど、やっとボールを奪っても、前にはバックラインの4枚とボランチの2枚がしっかりディフェンスに戻っている。スペースがない。1対1の勝負に出ると、数的不利をつくられて、ボールを奪われ、ブラジルの「お家芸」化したカウンターを喰らって右往左往。ビエルサお得意のゲーム戦術や戦略よりも、もっと根本的な1対1で、チリはブラジルに負けている。では、それに勝つために「組織」でどうだ?と考えれば、ドゥンガのブラジルの組織もかなりの堅牢だ。前の3人を除いて、ポジショニングについて約束が明瞭に守られ、さっき書いた6人がディフェンスに回ると常に綺麗に並んでいる(もちろん並んでいるだけじゃなくて1対1でも強い)。
 もうタオル! こんなゲームだった。アルゼンチンもチーム戦術が何もないから、4ゲームを重ねるとだんだんチームになってきたし、ブラジルは前からチームだったので、そのチームの熟成度がどんどん上がっている。best8にヨーロッパのチームで勝ち残っているのは、オランダ、ドイツ、そして今晩のスペイン対ポルトガルの勝者。レ・ブルーが去り、アズーリが去り、スリー・ライオンズが去り、W杯も終盤に差しかかったのを感じる。今までの印象に残っているのは、もちろんブラジルとアルゼンチンという輸出の超大国と、「若きドイツ」。オランダは、監督も言っているとおり、アートよりもヴィクトリー──でもゲームの詳細を見れば、カスカスで勝利をたぐり寄せているに過ぎない──だし、スペインは2年前の興奮をいっさい欠いている。ウルグアイ、パラグアイといった地味な南米(失礼、もうジャパンはパラグアイに敗れることになっている?ブラジルやアルゼンチンじゃなくてパラグアイならチャンスはあるよね)じゃ華がないよね。

投稿者 nobodymag : 10:26 AM

カペッロは頭が固いね

 監督にファビオ・カペッロを擁しながらもbest16で姿を消すことになったイングランド。それもドイツに完敗。1-4だ。各戦評を読んでみると、もちろんランパードのゴールがノー・ゴールにされたことと、リオの怪我による急造センターバック・コンビのアップソンとテリー、特にアップソンが狙われたことに言及されているものが多い。然り。誰が見てもランパードのループはゴールだったし、後でカペッロが吠えるように、「あそこがゲームの分水嶺」だったことも事実。だがこのゲーム、イングランドがドイツを圧倒するような展開ではなかったし、若いドイツのスピードに対応するような策をカペッロが提示した形跡もない。
 いったいカペッロはどんなフットボールを指向したのか? イングランドの4ゲームを見てもさっぱり分からなかった。フォーメーションを見れば、もちろんある程度のことは分かる。常に4-4-2。セントラルにランパードとバリー、左前にジェラード、右前にミルナー(交代はライト=フィリップス)、あとはルーニーとデフォー(ヘスキー)。リオの代役と共に話題になるのがルーニーのパートナー。つまり、4-4-2は固定であること。ルーニーがマンUでワントップであり、ジェラードはリヴァプールで多くの場合トップ下であることを考慮しない。まず自分のフットボールがあって、それに選手たちを当てはめていく方法。それにレノンとライト=フィリップスの2人のウィンガーが右に偏っているのはなぜ? 結論を急ごう。カペッロはナショナルチーム向けの監督ではないということ。時間をかけて自らのチームを熟成していくクラブ・チームの監督には相応しくとも、W杯のように短期間で結果を残すタイプではない。もしイングランドが現有勢力で4-2-3-1にしても、かなりイケたと思う。溌剌としたドイツの若さに比べて、カペッロの頭の中が固定化していたように思えた。

投稿者 nobodymag : 10:07 AM

juin 27, 2010

ディテイルに目が行く

 韓国が惜しかったと言うより、ウルグアイはなかなかいい。スアレスの2点で勝ったのだが、フォルラン、スアレスの二枚看板よりも目立ったのは中盤。モナコのペレスとペニャロールのアレバロという素晴らしいダイナモのパスワーク。韓国選手よりもポジションが正確で、韓国選手よりも多く走っているように見える。それに対して、韓国の中盤はまったく目立たない。両チームともカウンター狙いになった後半では特に、広くスペースの出来たミッドフィールドでバランスをとるのはもっぱらウルグアイの選手たち。
 もちろんスアレスの2発は見事だったし、とくに2点目のカーヴがかかり、アウトポストを狙ったシュートは格好良かったけれども、韓国のディフェンスラインが下がりすぎ、スアレスにはシュートを打つに十分なスペースがいつも与えられていた。スアレスの1点目も、韓国のディフェンダーがボールウォッチャーになって、スアレスから目を話したことが原因。まだまだこのチームはナイーヴだね。
 トップ下にパク・チソンという選択肢は悪くなかったが、自分たちの走力とスタミナに自信を持ちすぎているせいか、ゲームを構成していくという意識に韓国チームが乏しかったように思う。それにウルグアイの選手たちよりも、いつも少しだけトラップが大きい。ワンタッチで絶好の場所にボールを収められるウルグアイの選手たちの技術の高さには、やはり「歴史」が感じられる。次第に強くなる雨の中でも、まったく雨を感じさせず、自在にボールを運べるスキルを韓国選手が身に着けるのはいつだろう。
 韓国がベスト16に進んだのは、当然の結果だと思うが、これから先が長いね。
 同じことはガーナの選手にも言える。個人のスキルが高く、コート・ディヴォワールの選手たちのようにエゴイストが少ないので、このチームは、実にオーソドックスに戦って、オーソドックスに勝利をたぐり寄せていく。ドノヴァンにオンブにダッコのアメリカとガーナの間にも、やはり距離がある。
 グループステージの3戦目のような「談合ゲーム」がなくなる決勝トーナメントになると、ウルグアイやガーナが見せてくれるディテイルの正確さで勝負が決まっていく。それは、もちろん健康なことだけれども、ぼくらは、今回のW杯で、未だに「すごい戦術」を見ていない。深夜にディテイルばかりに目を凝らすと、とても眠くなる。

投稿者 nobodymag : 02:02 PM

juin 26, 2010

スペインは調子が出ないね

 やっぱりブラジル対ポルトガルの次は、スペイン対チリでしょうね。とりあえずブラジル対ポルトガルは、互いにやや本気を出し合ってのスコアレスドロー。こういうゲームは、グループステージの最終戦のつきものでしょう。「談合」と言われようが、スコアレスドローなら、両チームとも決勝トーナメント進出。ぼくら観客にしてもコート・ディヴォワールが出るよりも、ポルトガル!という訳で、談合を認めてしまう。でも、ポルトガルは大したことなさそう。10年前のユーロが最高だったね。やはり当時絶頂のフランスが、準決勝で当たるとトリプル・ボランチで、ポルトガルの中盤を消しにかかったから。ルイ・コスタとフィーゴをはじめ、すごい選手が揃っていたね。今はロナウドだけ。
 そしてスペイン対チリの前半はすごくいいゲームだった。例によって何にもしないデルボスケに対して、ビエルサのチリは3バック! 今どき3バックのチームなんて……といってもビエルサの理想は、ローテーション時代のオランダだから、3-4-3なんだよ。さらに全員がハードワーク。主審がカードを出しやすいメキシカンじゃなければ、もっと楽しめたかも。でもビジャの長距離ループが入り、イニエスタの流石のシュート(インサイドで真っ直ぐ!いいね!無回転ばっか持て囃されている現状はよくない。基本はやっぱりインサイド!)で、チリはタオルかな?と思ったら、10人になっても諦めず、後半のアタマから2人交代させ、1点を狙いに来た。「裏番組」のホンジュラス対スイスがスコアレスドローになる確率が高いニュースを知ると、スペインの2-1にしておけば、チリとスペインがベスト16に上がるからね。スペインもセスクを虫干しして、決勝トーナメントに備えていた。セスクは、動き回ってはいたが何がしたいのかよく分からなかった。チャビとセスクにコンビネーションが生まれれば最高なんだけどね。
 でも、スペインは2年前のユーロにほど遠いね。トーレスの調子が上がってこないことや、ブスケツがまだグローバルなレベルにないこともある。でもそれ以上に、デルボスケがチームをいじりすぎていることが原因だと思う。クアトロ・フゴーネスのスペインが最高だとは思わないが、今のスペインは並のチームに、ビジャというストライカーがいるだけ。いずれにせよ次のポルトガル戦が試金石。次にかつてのパフォーマンスを出さない限り、優勝の文字はない。
 シャビ=アロンソをアンカーにして、チビちゃん4人(チャビ、セスク、シルバ、イニエスタ)を並べたチームを見たいね。今の調子ならビジャのワントップで十分。

投稿者 nobodymag : 04:28 PM

juin 25, 2010

本田、いいね。

 ずっと起きていたけど、ぼくの家の近くの家々の電気は消えていたようだ。みんなが徹夜で見ていたってこともないんじゃないかな。
 岡田武史の悪口をいっぱい書いてきたけど、とりあえず、このチームは成長していることを認めよう。きっとこの成長の速度は、岡田武史の想像を超えるスピードだと思う。もちろん、このゲームにしても、本田と遠藤のFKが入っていなければ、どういう展開をしたは分からない。でも、ふたりのFKが素晴らしい軌道でデンマークのゴールマウスに吸い込まれたのは事実だ。本田の一発で一気に眠気が覚めた。
 このチームが成長しているというのは、チームの型が出来てきているということだ。岡田は、このゲームの冒頭では「冒険」にいっている。自陣10メートルほどのところに守備のブロックを形成するというオランダ戦のやり方を変えて、前からプレスにいっている。するとデンマークは見事にプレスをかいくぐって中盤をつくり、フィニッシュに持ち込もうとしていた。やっぱりジャパンよりデンマークの方がやや強いのだ。
 それを認識した岡田は、デンマーク戦をオランダ戦と同じやり方に切り替える。ガチンコ勝負を避けて、ディフェンスから入る。ゲームが膠着し始める。本田のFKはこの時間帯で生まれた。ラッキーとしか言いようがない。もちろん本田の成長は、このチームの成長ぶりよりも早い。俊輔と一緒に出場していた頃の本田を思い出せば、誰でも「こいつダメだよね」と思ったろう。この日の本田をベントナーを比べると分かりやすい。すべての面で本田の方がよかった。
 イングランド戦から、このやり方をとり、それが4ゲーム目(コート・ディヴォワール戦はガチンコ勝負にいっていた)になると選手の方のオートマティスムが生まれる。ディフェンスのブロックをつくることから入って、両翼(松井と大久保)にボールを預け、本田で勝負。遠藤と長谷部はハードワークに徹し、スタミナのある両サイドバックを活かす。つまり本田にボールが収まるかどうかが勝負の分かれ目。4ゲーム目で本田には、本物のセンターフォワードみたいな貫禄が出てきた。適応が早いね。だからフェンロで成功しチェスカで成功するのだろう。(秋になったら、この若者はどこに行くのだろう?)
 そして次はパラグアイ戦。ジャパンもパラグアイもディフェンスから入ってカウンター。ゲームとしては面白くないものになるだろうが、延長戦までいけば勝負がどっちに転ぶか分からなくなるね。

投稿者 nobodymag : 10:41 AM

これからアズーリはどうなるのだろう?

今回のW杯で、イタリア代表が最初のゲームをやった朝、全国紙のスポーツ欄の下の方に、フィアットの広告が大きく掲載された。「Fiat500」だ。実はぼくもチンクエチェントの新型はけっこう気に入っている。チンクエチェントの伝統を踏襲した上でのリノヴェーションというデザイン。東京みたいな密集都市の街乗りにはぴったりのクルマだと思う。
 でもFiatの広告がなんだか虚しく見えてしまう。広告の上のイタリア代表の記事だ。グループリーグでの輝きのないスコアレスドローは、イタリア代表の代名詞みたいなものだ、と考えれば、そのときは、それでよかったが、スロヴァキアとのゲームで完敗し、南アを後にしなければならない現状を見ると、かつてのアズーリと今のアズーリは、単にユニフォームの色が同じなだけで、そこには千里の距離があると思えてしまう。
 カンナヴァーロの遅れ気味のタックル、ガットゥーゾが走り回っても、もう相手はいない。4年前ならけっこう輝いていたイアキンタもぜんぜんダメ。良いところがまったくない。曇ったまままったく表情を動かさないマルチェロ・リッピを見ていると哀感が増す。4年前なら絶頂にあった人たちを、今ここでピッチの上に見ていると、時代劇の主人公がまるでタイムマシーンに乗って同時代にやってきて、時代の大きな差異に驚いて立ちすくんでいる。そんな感じだ。
 でもリッピは、怪我が癒えないピルロにアップを命じた。もちろん、この1戦を勝利で終わらねば明日がないわけで、コンディションが悪くても、ここ10年来アズーリをしきってきたピルロに奇跡を起こさせたいと念じているからだろう。いやそうではない。マルチェロ・リッピにしても、もう敗戦を覚悟していて、南ア最後の10分間で、おそらく世界の舞台から退くことになるピルロの姿を見せたいと考えているのかもしれない。
 そして、満を持してアンドレア・ピルロがピッチに立つ。彼になかなかボールが回ってこない。周囲の選手たちはピルロに花を持たせるなんて余裕はないのだ。だが、しばらくしてピルロにボールが来る。ファーストタッチ、あらぬ方向にトラップミス! まるで今のアズーリのようだ。深い溜息をひとつ。

投稿者 nobodymag : 10:20 AM

juin 23, 2010

フランス代表は醜悪だった

 韓国おめでとう。実力通りということ。
 実力と無関係なことで、ピッチを去ることになったのが、フランス。さっきYoutubeでエマニュエル・プティのインタヴューを見た。周知の通り、プティは、98年のW杯フランス代表のボランチ。確か決勝でも1点決めているよね。彼が「アネルカ事件」をすっぱ抜いたレキップ紙のクロニクルを担当している。「考えなければいけない。アネルカ事件は、それにとどまるものではないんだ。フランス代表をめぐっての惨劇は今に始まったことじゃない。2年前のユーロからもう始まっている。否、もっと前、前のW杯が終わったときから始まっている。正面からものごとを捉えて、しっかり考えなくちゃダメだよ。ぼくらは、もっとひどい目にあったいるからね。予選で負けて94年のアメリカW杯を逃している。だからゆっくり考える時間があったね」。その通り。前のユーロ、そして今回のW杯。どうしようもなかったね。「でも、育成については、ヨーロッパの他の国はどこでもフランスの真似をしている。つまり、世界一の育成システムを持っている。それがこのざまだよ。選手たちを食いつぶしているんだね」。
 醜いという形容詞がいちばん当たっているフランス代表。でも、対南ア戦の後半はどうだ!アンリが入ってからボールが落ち着いて回るようになり、選手がひとり少ないなんて感じさせなかった。ドメネクが、チームを掌握することができなくなって、フランスの実力が垣間見えた。ジダンが、この代表をファイナルまで押し上げ、ジダンの頭突きで準優勝に終わったこのチームのディレクションを、4年前に代えておけば、こんな醜悪さを見なくて済んだ。ナスリ、ベンゼマ、グルキュフなどの若手が、このW杯で一気に育ったかもしれない。
 出場を拒否した選手が多かったため、この日のBkラインは、スキラッチを除いてアーセナルの3人。そしてディアビを含めれば、4人のアーセナル。代表チームの構成には、この手の処置が必要。ディフェンスラインやミッドフィールドを同じチームで揃えると楽にコンビネーションが作れる。でも、もう遅かったね。
 ローラン・ブランのインタヴューを探しているけど見つからない。頭の良い彼のことだから、今回の「事件」についてコメントはしないことにしているのかもしれない。

投稿者 nobodymag : 06:30 PM

juin 21, 2010

ブラジルの引き出しにはものが詰まっているね

 実はブラジル対コート・ディヴォワール戦はけっこう楽しみにしていた。アフリカの中では、もっともレヴェルが高いのはコート・ディヴォワールだろうし、闘莉王の体当たりによる骨折からドログバも戻ってきた。最終ラインにコロ・トゥレ、ミッドフィールドにエブエとヤヤ・トゥレ、そして前戦にドログバとチームの芯がしっかりしていることもある。
 だが、前にアルゼンチンに懐が深いという言葉を使ったが、ブラジルの方が、もっと深いね。それに引き出しの数がたくさんあって、一つ一つの引き出しの中にも、ものがたくさん入っている。北朝鮮戦では、相手の塹壕立て籠もり作戦にあって、やや往生したけど、ファイティングポーズをとって向かってくる相手が、ブラジルのスイッチを入れてしまった。3点を奪ったブラジルに対して、イヴォワリアンは、ドログバが1点返すのが精一杯。次第に、ブラジルに対して苛立ち始め、ゲームの体をなさなくなっていった。カカの退場はいただけないが、1ゲーム休めると思えばいい。
 ポルトガルは、北朝鮮をいじめすぎ。これも、ブラジル対手に善戦して「やれるかも」と勘違いした北朝鮮が攻めることをも視野に入れ始めた結果だ。空いたスペースをクリスティアノ・ロナウドが走り、彼を起点に次々に得点が生まれた。ぼくが北朝鮮のセコンドに入っていれば、すぐにタオルを投げていた。これを機会に北朝鮮も、国を開くことは大事だ。みんなと交流するのは、必要なことだ、と思って欲しい。思うわけないか! それにしてもすごい雨の中でも、ボールを正確に止め、正確に運ぶことの出来るポルトガルの選手の技術は高い。

投稿者 nobodymag : 11:48 PM

愛というのは儚いものだ

 スカパーの日本戦を見ると必ずオシムさんが登場する。オランダ戦の評価を巡っても、オシムさんの「お言葉」は面白かった。「このゲームは、教科書的な敗戦だ。だから学ぶべきものがたくさんある」から始まって、司会の倉敷アナの「日本代表への愛情ある言葉をありがとうございます」と締めくくると「愛というのは儚いものだ。いつも花に水をやらないと死んでしまうように、いつも水をやらないと枯れてしまう」とおいしい言葉を吐いていた。もちろん「大久保はエゴイスト!」というゲームを見ていれば皆が納得する指摘も忘れはしない。「悔しい」と語る岡田武史の目は潤んでいた。
 0-1という点差は、決定力の差だ。ファン・ペルシもカイトもできが悪かったのが、スナイデルはディフェンスの一瞬の綻びを見逃さなかった。対するオランダ・ディフェンスは、至る所で綻びを見せるが、本田は押さえ込まれ、大久保がシュートを外しまくり、岡崎も決定機をふかした。
 このオランダでは優勝は無理なのではないか。しっかりしたポジショニングはするけれども、かつてのローテーション・フットボールからは遠い。4-2-3-1という並びを変えず、日本としては、中澤、闘莉王、阿部のブロックを中心に守りを固めるのがやさしい。かつてはクライフを押さえたとしても、ニースケンスがミドルを狙い、ニースケンスを押さえてもクーマンが居た。今のオランダは、個々の能力には優れていても、チーム戦術はとても凡庸だ。右サイドのファン・ブロンクホルストやボランチのファン・ボメルには往年のスピードがなく、攻めは前の4人、ディフェンスは後ろの6人と分業されているだけ。日本代表の善戦は、そうしたオランダの戦術的後退を背景にしている。
 ヨーロッパのチームはどうしたのだろう? 対オーストラリア戦で圧勝したドイツもセルビアに敗れたし、イタリアはニュージーランドとも引き分けてしまった。カンナヴァッロの衰えは目を覆うばかり。至る所にドアがあり、しかもどのドアも開いている。カテナチオは死語になってしまった。それにフランスの内紛はどうだ? アネルカがドメネクに暴言を吐き──誰でも吐きたくなるよね──強制送還になると、今度は選手たちが「アネルカを売った犯人」探しを始め、練習を拒否する始末。貧すれば鈍する。98年の栄光はどこに行った? 06年に決勝を戦った2チームがこの始末だ。

投稿者 nobodymag : 11:44 PM

juin 18, 2010

ゲーム戦術という治療法

 スペインがスイスに敗れ、北朝鮮にも見られたような自陣に立て篭もって、ディフェンスばかりする展開についてかなり議論が出ているようだ。これじゃゲームがつまらないじゃないか。W杯なのに、ゲームが地味すぎ。やっぱりチャンピオンズリーグの方がぜんぜんレヴェルが高いよ。どれもその通り。
 ビッグチームに所属する有名選手たちはチャンピオンズリーグで、5月まで厳しいゲームが続いていたから、W杯に入った頃には疲弊している。FIFAは日程を考え直すべきだとオシムが言うのも一理ある。それにナショナルチームは、滅多に集まる機会がなく、常に行動を共にして練習しているクラブチームの方がコンビネーションや戦術が練られているのは当然だ。98年のフランスW杯あたりから議論されている、国民国家の壁が崩れ、チャンピオンズリーグ中心の日程が支配するとき、もうW杯の役割は終わったのではないか、ということが、ゲーム自体の活気のなさや、選手たちの疲労を見ていると、ますます現実味を帯びているようだ。
 でも、まだ結論を出すには早過ぎる。始まったばかりじゃないか。それにグループリーグという性格上、負けないことが何より優先するので、グループリーグ突破のボーダーラインにあるチームは、ディフェンスを固めて、引き分け狙いを戦術の柱にするのは当然だ。有望なチームもピークを決勝トーナメントに置いているはずで、グループリーグからエンジン全開で来るはずがない。チームのピークを一ヶ月も維持することなど不可能だ。
 とすれば、スペインのデルボスケは、スイスにカウンターで1点採られたぐらいで、それまでの戦術を変えて、勝負に出る必要などなかったのではないか。ヘスス・ナバスを入れて右サイドからのクロス中心のアタックに変え、まだ50%程度のトーレスを投入して「勝負する」賭は、決勝トーナメントの一ッ発勝負に入ってからで良い。ボールがめまぐるしく回り続けるスペインの中盤がこの采配で消えてしまった。シルバを我慢し、まだ完全ではないイニエスタを60分まで引っ張り、イニエスタをセスクに変えて、スペインの中盤を徹底的に復習すれば、次第に質が上がってくるはずだ。どっしり構えて選手をやる気にさせるというデルボスケ自らの特長を忘れ、勝負に出るという、彼が未経験な分野に打って出たことがこのゲームのスペインの失敗だった。傷口にバンデージを貼る程度の治療で十分なのに、手術をしてしまった。
 それに対してボーダーライン上の韓国は、アルゼンチンに対して真っ向勝負に出て、見事に負けた。確かにギリシャ戦は快勝だったが、相手がギリシャだったからで、これといった戦術のない──つまり逆に言えば、すごく懐の深いアルゼンチンに対しては、そのディフェンスラインがいささか弱いことを理解した上で、あえてカウンターに徹するゲームメイクをしていれば引き分けもあったかも知れない。
 そしてフランス対メキシコ。メキシコの勝利は見事の一言。同時にフランスは、もっとずっと前に主治医を変えておくべきだったのに、未だに近代医学を信じず、星占いを治療の指針にしている無知無能な医師に治療を任せ続けたことで大失敗。選手たちも、誰も監督を信じておらず、敗戦に悔しさも感じていないようだ。患者が医者を信じなければ、病気は治らない。メキシコの誠実さは、スポーツにあってはもっとも重要なことであるが、不誠実なチームは、はやくピッチを去った方がいい。次期監督に決定しているローラン・ブランに次のゲームからでも采配を任せるべきだ。そうしなければ、フランスはグループリーグ最終戦で当たるホームチームに不覚をとるかもしれない。

投稿者 nobodymag : 11:13 AM

juin 16, 2010

いろいろあったね

 多忙の中でゲームを見ようとしていると、とても眠くなる。だから3時半キック・オフのゲームはどうしても録画で見ることになる。23時キック・オフのゲームを見始めても、予選リーグは、どうしてもリスクを冒さない選択をしがちになるので、ゲームが膠着する。つまり、眠くなる。勝ち点0と勝ち点3の差は天文学的に広がるので、勝ち点1という選択をするのも仕方がない。眠くないときは、そんなゲームもとても面白く見られるが、眠いとやばい。スーッと居眠り状態に入り、気がつくとハーフタイムだったりする。
 ゲームを見続けていると必然的に時間がなくなって、このブログを書く時間がない。困ったことだ。今は水曜日の午前11時。幸い今日の午前中はやや時間がある。研究室の片付けやフランス語の小テストの採点はあるけど、昼休みにやろう。一昨日、昨日のゲームをまとめておきたい。
 まず日本対カメルーン。日本代表がアウェイで初勝利を得たという成果は素直に認めたい。しかし、気になったのはカメルーンの方だ。ポール・ルグエンだって悪い監督ではない。今のフランス代表のお馬鹿な監督がもしも辞めていたら、彼が後任の第一候補だったはずだ。ひとりひとりを比べれば選手は日本よりも上だ。だが、まったく良いところなく日本に敗れた。カメルーンはまるでチームの体をなしていなかった。もともとディフェンスはザルに近いものがあったろうが、中盤から前は、エトー、ウェボの2トップを始め、悪くはない。カメルーンの問題はもっぱら中盤にある。ソング不在が大きい。先制されるとカメルーンはもっぱら放り込み!戦術もへったくれもないだろう。遠藤、長谷部の展開から、松井、大久保の仕掛け、そして本田の仕留めというアタックと、中澤、闘莉王、阿部で作るトライアングルが基本のディフェンスというふうに、誰にでも分かりやすく作られている日本の戦術に、拮抗する何かをカメルーンが持っていたとは思えない。これじゃオランダはもちろん、デンマークにもやられるだろうね。
 そしてイタリア対パラグアイはみんなの予想通りドロー。そして、ポルトガル対コート・ディヴォワールも、すごい撃ち合いになると思いきや、お互いの長所を消し合い、最後には両チームがドローでオッケーと納得した感じでドロー。
 そしてブラジル対北朝鮮。みんかが言うほどブラジルは悪くなかった。予選リーグ、しかも緒戦、その上、相手は力が離れていて、自陣を9人で守っている。引き分けだって十分あり得るゲームだった。それを後半に2点取り、勝負の行方を決めてしまった。最後の1点はご愛敬。もちろんカカはひどい出来。ルイス・ファビアーノはまったく活躍できなかった。それでもロビーニョ→エラーノの1点はビューティフル・ゴール。見ている限り、多くの人が言うとおり、今年のブラジルは相手は強いときにもっとも大きな力を発揮するだろう。対コート・ディヴォワール戦が楽しみ。

投稿者 nobodymag : 10:17 PM

juin 13, 2010

やっぱり3ゲーム!

第2日。この日はギリシャに対する韓国の圧勝で始まった。一昨年のユーロのときにも感じたことだが、オットー・レーハーゲルのギリシャは、もう完全に説得力をなくしている。2004年のユーロでの専守防衛で、ヨーロッパ・チャンピオンになったのだが、あれから6年が経ち、フットボールが完全に変わってしまった。ディフェンス・ラインを低く保って、自陣ゴールにへばり付き、背の高いFWに向かってフィードボールを送るフットボールは、もう通用しない。パク・チソン率いる韓国の速度は、そんな「時代遅れ」のフットボールを切り裂いた。韓国の勝利は清々しい。
 そしてマラドーナとメッシのアルゼンチンはどうだ? エインセのヘッドからの虎の子の一点を守りきったが、ナイジェリアのシュートの精度がもう少し高かったら……ナイジェリアの中盤から前にコンビネーションがあったら……これらifで導かれる仮定法を使いたくなる。アルゼンチンの勝利は、韓国のように清々しくない。まだチームの体をなしていない。もちろん、同じことはナイジェリアにも言える。オコチャやカヌーのようなスーパースターがいないナイジェリアは、そこそこ一生懸命やっているのだが、どんなフットボールを体現したいのか、まったく見えてこない。アルゼンチンが、11人の個人技の集積に過ぎないのと同じように、ナイジェリアも、これといった共通のアイディアを持たない11人がピッチの上に散っているだけ。このBグループでいちばんチームになっている韓国が次節で、アルゼンチンとどう相対するのか。とても楽しみだ。抜け殻のようなギリシャ相手ではなく、ナチュラル・ボーン・フットボーラーたちを並べたアルゼンチンに韓国の速度はそう対応するのだろうか?韓国選手のシュートの精度はナイジェリア選手よりもずっと良いようだし、パスの出所を狙って走り続けるという韓国のアイディアは、かつてのガチガチのマンマークという韓国のイメージと正反対のとてもモダンなものだと思う。
 もう1ゲーム。盛り上がらないと嘆きながら、今日も3ゲーム!多忙だ、と知っていながら、眠いのを知っていながら、イングランド対アメリカ。GKグリーンの後逸で1-1になってしまったゲームだが、イングランドの至宝であるランパード、ジェラード、ルーニーにオーラが感じられない。これでは、ファビオ・カペッロの血圧が上がりっぱなしになるだろう。問題はレノンとミルナー(ショーン・ライト=フィリプス)の両翼。ウィンガー・タイプの2列目を使うとき、両サイドバックとの連携がない。バリー、キャリックという球拾いを使ってランパート、ジェラードをもう一列前にしたらどうだろう?重要なのは、ジェラード、ランパード、ルーニーのトライアングルだと思うが。それにアシュリー・コールとグレン・ジョンソンがガンガン上がれば、ウィンガー・タイプのミッドフィールダーは不要だ。

投稿者 nobodymag : 02:22 PM

juin 12, 2010

されどワールドカップ!

 今度のW杯は盛り上がらないねぇーといろんな所から声が聞こえてくる。Nobodyの渡辺くんも、「ぼくも94年のアメリカ大会から見てますけど、今回がいっちゃん盛り上がらないッスね」と言っていた。「確かに盛り上がらないよね。南アフリカが遠いせいかな? それとも岡田武史が盛り下げているのかな?」とりあえず原因は分からないけど、盛り上がっていないのは確かだ。
 でも、恒例の──ぼくの中でだけ──このブログはやろうと思う。かつては、新聞よりも早い戦評をめざしていたが、今回は、盛り下がりついでに、「備忘録」っていうか、「メモランラム」っていうか、マジな戦評よりも、何となく感じたことをダラダラ書き続けようと思う。それに仕事も超多忙で、W杯に打ち込めないし、3時半からのゲームはライヴで見られそうもないし、12時からのゲームも途中で寝ちゃうかも……。
 それでも開幕戦をやっているNHKを見る。ゲストに中田ヒデ。言っていることはごく普通。年齢的にはまだ出来るよね。朝青龍とモンゴルでサッカーやっているよっか、南アフリカに能活と一緒にメンバーに入ってチームを盛り上げればよかったんじゃないかな。
 とりあえずkick off。南アフリカ対メキシコ。メキシコはイタリアにもテストマッチで勝ったんだよね。いくら地元と言っても、今回の南アは、決勝トーナメントは無理じゃないの?予想通りメキシコの猛攻!南ア、アップアップ状態。メキシコの先制点は時間の問題か、と思われたが、スコアレス・ドローで前半終了。攻め続けるメキシコとボコボコにされつつある南アを見ていると、選手たちの本気度が伝わってきて、ヤッパ、フットボールって面白いかも、W杯良いかも──と眠気が飛んでいくのを感じる。なんか、皆、スゲエ一生懸命。こんな一生懸命さはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントでもなかなかないよね。「そーか、W杯って皆一生懸命なんだ」という奇妙な確信。じゃ何で一生懸命? 何のために一生懸命? この辺は分かんないね。もちろん選手だからゲームが始まれば懸命になるさっていうのは、反証がいっぱいあるよね。とりあえず言えるのは、ヤッパ重要なゲームなんだということ。チャンピオンズリーグは毎年あって、W杯は4年に一度。W杯には、チャンピオンズリーグにはぜったいに出ない選手もたくさん出ている。このゲームだったら、メキシコのヴェラ(アーセナル)とマルケス(バルサ)ぐらいじゃないのかな、チャンピオンズリーグに出ているのは。もちろんプレミア・ファンなら南アの8番──ピーナール(エヴァートン)は知ってるけどね。2流だよね。このチームに入ると一流だけど。
 そして、後半。な、なんと先制したのは南ア。カウンターから一気のアタックで先制!だからフットボールは分からない、否、面白い。考えてみれば、メキシコは攻め疲れ。ミッドフィールドから後ろは仕事をしていない。カウンターは、だから決まりやすい。それから南アのアタック、メキシコの凌ぎ。メキシコは意外にDFが弱い。ミッドフィールドもない。結局1-1のドローでタイムアップ。
 ついでにもう1ゲーム。Aグループでは、こっちのゲームが中心だよね。フランス対ウルグアイ。フランスどうよ?アンリのハンドで滑り込んだW杯、ドメネク最悪のW杯。で、どうよ、フランス? 4-3-3じゃん。ミッドフィールドは、トゥラランが球拾い、ディアビとグルキュフがセントラル。FWは左からリベリ、アネルカ、ゴヴー。リベリ、キレてるね。でもさ、アトレティコのフォルランってホント、センターFW顔だよね。ぜったい俺が決めたるで!っていう顔。比べて、アネルカ、ゴヴーはちょっとダメ顔。自信なさそう。フランスはチームになっていないぞ!という批評を読んだが、その通り。前の3人は、連携関係なしに、それぞれが動いている。ミッドフィールドの3人は、繋ぐけど、たとえばディアビとエヴラ、グルキュフとサニャというサイドバックとの連携は皆無。強うそうな11人並べただけだね。まあウルグアイも2トップを除く全員で守っているので、点が入らないけど、フランスをリスペクトしすぎているんじゃいの。その証拠に、後半、両サイドと2トップが連携するようになると、チャンスが何度も生まれた。でもゲームはスコアレスドローで終了。ウルグアイ、真っ向勝負だったら、どうだったかな。でも、退場者を出したし、経験不足なのは否めないね。
 結局、2ゲーム見てしまった! この忙しいのに! やっぱりW杯好きかもね。明日は、今日の2ゲームよりも面白いよね。エエー?見るの? 見るさ。

投稿者 nobodymag : 01:40 PM