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juin 30, 2010

これから先が長いよ

 このゲームはアタマを守備的に入って、おそらくゲームが膠着してくるはずなので、そこからどうやって「仕掛けていくか」が問われるだろう。誰でもパラグアイを知っていれば、そんな予想が成り立つ。サンタクルスがすごいとっても、ロナウドやビジャのようなスーパーな選手ではない。プレッシングをかけてくるわけでもなく、しぶとく粘って勝つというのがパラグアイだ。98年のフランスW杯での対フランス戦で、ジダンを出場停止で欠いたフランスが圧倒的にポゼッションしながら延長まで勝ちを得られず、ようやくブランのゴールで勝ちを拾ったゲームを記憶している。つまり、パラグアイというチームは、圧倒的に勝つこともない代わりに、すごく強いチームにも善戦以上の戦いが出来るチームだ。
 だから、どうやっても膠着するゲームに何とかして穴を穿ち、そこから勝負に持ち込むのかを思考すること。そのとき、もっとも大事なのは、ベンチワークだ。前半から遠藤を前に出したのは、だから正しい。グループステージではないトーナメントを戦うには勝つしかない。守るばかりでは引き分けが精一杯で、勝つことはない。だが、岡田武史の打った手は65分までこれだけ。遠藤を前に出しても、一向にゲームの縺れた糸がほどけるに至らない。だったら後半のアタマからギアを入れ替えるしかないだろう。阿部と大久保を外して、憲剛と俊輔という手を打つ勇気が岡田になかったのだろうか?これじゃオシムさんそのままじゃないか?けれども他に方法があるのか?中盤を走って走ってボールを奪い、本田に集めて、遠藤、俊輔らが「仕留める」以外、ビジャのような圧倒的なストライカーを欠くこのチームには方法はなかったのではないか?
 もちろん裏を取られて失点したかも知れない。90分で敗れたかも知れない。でもPK戦にもつれ込んで悔し涙に暮れるよりも、「今夜は駒野を誘って死ぬまで呑ませますよ」(松井)という左遷されたサラリーマンの新橋での居酒屋の会話みたいなことをいうよりも、すっきり負ける方がよかったんじゃないか。逆にすっきり勝つ可能性だってあったんだから。もちろん、ぼくも含めてグループステージを突破するなんて、フットボールファンなら誰も思っていなかったろうし、デンマーク戦の本田と遠藤のFKも良かった。その意味で岡田武史のチームは頑張った。それは認めよう。でも、ここから先がすごく長いんだろうな。8年前に4位になった韓国も前大会はグループステージで姿を消し、今大会もやっとベスト16。でも韓国はアルゼンチンと真っ向勝負できたからね。そこでフランスやイタリアを見ていると、「たゆまぬ努力」をホントにちょっとでも惜しむと、先に進むどころか一気に滑り落ちていくんだね。だからPK負けを悔しがる前に、ゲーム戦術についてのナイーブさを捨て去ることが重要だ。これ以上は落ちない、そこからちょっとでも上をめざす。それだけ。フットボールだけじゃないけど。

投稿者 nobodymag : juin 30, 2010 11:28 AM