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juillet 08, 2010

クワトロ・フゴーネス見参!

得点こそ、コーナーからのプジョルのヘッドだけだったが、誰が見てもスペインの圧勝。2年前のユーロの決勝の再現。スペインの勝因は、デルボスケが、彼の2つの欲望を我慢したことだ。もっとも彼は「何もしない」ことで、銀河系レアルの黄金時代を共にしたのだから、「我慢する」こととは「何もしない」ことと同義語であることを知っているはずだ。
 欲望のその一は、フェルナンド・トーレスを諦めたこと。ぼくだってリヴァプールのフェルナンド・トーレスは大好きだ。あの速度! 何食わぬ顔でディフェンスを置き去りにして、ゴールマウスにボールを流し込むのを何度も見た。だが今回のW杯では体調が戻らないことから、ボールタッチにもシュートにも力みが目立つ。彼にはもう少し時間が必要だ。トーレス自身がいちばん良く分かっているはずだ。(結局、最後には試運転させたけどね。)欲望のその2は、サイドアタッカー(ヘスス・ナバス)を使うのをやめたこと。アーセナル・サポーターのぼくなら、セスクだけど、デルボスケの選択はペドロ。チャビを下の頂点にした逆三角形の一方にイニエスタを置くなら、もうひとりもバルサがいい、だからペドロ。そんな感じの選択だと思うけど──だからシルバでもない(彼も最後には出てきた)──この選択は正解だった。デルボスケのしたこと(諦めたこと)はそれだけ。だから彼の意図としては4-2-3-1だったと思うけど、ゲームを見る限り、ブスケツをアンカーにした4-1-4-1になっていた。シャビ・アロンソとチャビが並んでセントラル、両ワイドにイニエスタ、ペドロ、そしてトップにビジャ。チャビからは短距離中距離のパスが供給され、シャビ・アロンソは、大きさサイドチャンジ。イニエスタとペドロが左右から中央に切れ込み、その外側をカプテビラとセルヒオ・ラモスが追い越していく。つまり7人で攻め、3人で守る。
 これじゃドイツはゴールに釘付け。でも、(いつものように)スペインのシュートはなかなか入らない。ほとんどベタ押し状態なので、ほとんど全員が守備に帰っているドイツのゴール前にスペースがない。針の穴を通すようなシュートじゃないと入らない状態。
 ときどきドイツはカウンター。でもピッチが悪いせいか、スムーズさがない。ミュラーが出場停止のせいかもしれない。それにディフェンスにおわれているから、カウンターにもなかなかスピードが出ない。エジルやポドルスキが、プジョルやピケに軽くあしらわれている。「てめえらパス・フットボールするには十年は早いぜ」って言われている感じ。シュバインシュタイガーひとりが死ぬほど頑張っても、チャビは、何食わぬ顔でペドロへ、イニエスタへパスがらくらく通される。ときどきビジャめがけてキラーパスが送られるが、すんでのところでディフェンスがカヴァー。あれが全部通っていたら4-0だったかも。
 何とか前半はスコアレスで押さえたが、後半のコーナーで、攻めてこないはずのプジョルの頭が炸裂!ドイツ、万事休す。
 やっとスペインは調子を出した。もっとも調子が出るのを今まで押さえ込んでいたのはデルボスケその人だったのだが。デルボスケが、自分ぽくするのをやめ、「スペインぽく」することにしたから、全部うまくいった。
 さてファイナルは、スペイン対オランダ。オランダ対ブラジルの前半みたいなゲームが90分続くんじゃないかな。それにしてもカシージャスの彼女は色気あるよね。もう一度見たいよ。

投稿者 nobodymag : juillet 8, 2010 11:28 PM