私は某百貨店内の某老舗カレー屋でバイトしている。百貨店で働くというのはなかなか骨が折れて、まず1日研修で、客が満足しまたここに来たいと思うような接客とは何かという講義を受け、筆記テストにパスしなければならなかった。今後も3ヶ月ごとに研修を受けることになっている。百貨店社員の話では、バブルの頃は社員が簡単な研修を受けていただけだったが、今は数ある百貨店の中で生き残るために、バイトにも研修を受けてもらっているとのこと。自分も多少は百貨店の看板を背負っているわけで、ヘマしたら大事である。百貨店内の各テナントもお互いに競争で、老夫婦や奥様方に人気のあるうちのカレー屋も、11月から客の減る14時前後は店の外で呼び込みをすることになっている。また、少しでも料理を出すスピードを上げ回転率をよくするために、手書き伝票がファミレス店員の使っているような電子式伝票に変わった。しかし、その機械も高くてなかなか人数分揃えられないらしく、まだ何人かは手書きでやっている。店も利益を上げるのに苦労しているのだ。紙ナプキンやサランラップなど消耗品の節約指令が出され、売上の悪い日は勤務終了予定時刻よりも前に帰されるようになった。社員が休みの日も出て来て仕方なさそうに働いているのを見るにつけ、時給下げないでくれと祈るばかりである。
内山理与