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juin 09, 2008

Sleep no more! Euro 08 does murder sleep.

高温多湿で息が詰まりそうなマスカット・オマーンから、バーゼルにカメラが切り替わる。6月のヨーロッパは緑に満ちあふれ、最高の気候だ。遠藤の人を馬鹿にしたようなPKがオマーンのゴールマウスに吸い込まれ、両チームとも動きが鈍くなり、モニターの画面にはポッカリ開いた中盤が、深い芝と信じがたい高温多湿を映し出すのと、緑の絨毯のようなバーゼルのピッチ。まさに天国と地獄。パスが繋がり、ボールが走り始めると、先ほどまで見ていた格闘技のようなフットボールが嘘のように、精密機械の運動のようなムーヴメントが支配している。やはり、こちらの方がフットボールなのだろう。
 だが、それにしても眠い。オマーン対日本戦のために、早寝は許されず、キックオフ前の長いセレモニーが永遠のように感じられる。図形が少しずつ変化していくマスゲームを見ていると、両目のまぶたがしっかり閉じられそうになる。ゲームが始まっても、やや引き気味のアングルが、フットボールをまるでマスゲームのように見せてくれる。機械のようなゲーム展開が、眠気を増幅させるだけだ。チェコのゴールの瞬間は残念ながら見ていない。気がつくと、モニターの左上のスコア欄にチェコの1点が記載されていた。これではいけない。ゲームを見ていることにはならないではないか。だが、開幕戦としては、このカードは少しばかり地味すぎやしないか。
 そしてカメラは、バーゼルからジュネーヴに移る。朦朧とした眼でボールの運動を眺めているだけで、どちらがトルコで、どちらがポルトガルなのが、すぐに理解できる。フットボールとは勝つためのゲームではあるのだが、ポルトガルの展開を見ていると、それだけではない、ボールを展開し、空いたスペースを探し当て、そこに選手が走り込んでーーというアクションを反復させることにフットボールの時間のほとんどが費やされていることが分かる。殺戮されたはずの「眠り」が少しずつ忘れられていく。朝早い明日の義務よりも、今の快楽に酔うことを選ぶのは正しい。ポルトガルのボール回しを見ていると、そんな確信が眠気を追い払い始めている。ときにトルコの反撃にあっても、中盤でボールをまわしながら2点を叩き込んだ。そして極東の大都会に朝がやってきた。

投稿者 umemoto youichi : juin 9, 2008 12:31 PM