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2005年5月10日

2005年5月10日

一般的に、風俗のお店は汚いと思われている、と思っている。「汚い」というのは、だまされるとか、ごまかされるとかではなく、ただ純粋に「汚い」という意味だ。実際には、私のお店のプレイルームでは、お客さんが帰る毎にシーツを交換し、使われずに時間が経った蒸しタオルは洗いに出すので、私自身はお店をそこまで汚いものとは考えていない。でも絨毯にまで飛び散ったローションや精液はおしぼりで拭き取るだけだし、スリッパも裸足で履いているのに一度も洗ったことがないので、細かいことを気にかければ、お客さんは、他人のむきだしの生理と常に隣り合わせであるとはいえると思う。
彼はシャワーから上がり布団に横になるとこう言う。「あのね、顔のマッサージはなくていいから。あと、オイルも使わないで」。私は、いつもより少しぎこちなく、乾いた手でマッサージを始める。「……うーん、すいません。うまくできないです……ちょっと使います?」彼は即座に言葉を返す。「いいよいいよ。だって、それ、洗ってないでしょ?」並べられたオイル瓶を指差され、私は苦笑いをする。「まぁ、適当でいいから。ね」。
性感タイムに入る。うつぶせになった彼がいう。「パウダーとか、なんかつけるやつは一切やめてね」「はい」。私は彼の背中にまたがり、美しい曲線を描く彼の背を指でなぞる。オイルが付いていない洗い立ての彼の背中と私の手は、驚くほどさらりとしていて、気持ちよく指がながれていく。指を脇腹にそわせ、さらに胸のほうまでくぐらせると、彼からしっとりとした吐息が漏れる。「じゃあ、四つん這いになってください」。体をずらし、彼の体勢を整えると、私は彼のお尻のほうへと移動して、足の付け根に指をはわせる。次はローションを使った性感だ。「ローションもやめておきますか」。私は彼に尋ねる。「……あー、……ローションだけはつけようか」。私は笑ってボトルを手に取り、彼のお尻へとゆっくりと生暖かいローションをたらす。「これ気持ちいいねぇ」。四つん這いの彼がにわかに起き上がり、私と彼は向かい合わせの格好になる。指先を使い、今度は彼が私の足の付け根へと指をはわせる。「こら、もうどこ触ってるんですかー」。笑いまじりに彼を制止する。「いいじゃん、パンツ触らなかったらいいんでしょ? ね、絶対パンツは触らないから」「……絶対だめですよ」。彼は再び指先で私のパンツの輪郭をなぞっていく。「……気持ちいい?」私は彼に曖昧な笑みを返す。「ねぇねぇ、チュウしようか?」私は驚いて彼を見つめる。「え? だめですよー!」「いや違うの。したふりだけ。ね」「なんですか? それ」「顔近づけて、したふりするの。ね。絶対チュウしないから。ね」。私は彼の甘えたような優しい言い方がなんだか気に入って、とりあえず彼に合わせる。ゆっくりと、彼の顔が、私に近づいてくる。私も開いていた口を閉じて、彼のほうに顔を寄せる。彼の手が私の肩にまわる。私が少しびくついて体に力を入れると、彼がそれを敏感に察知する。「大丈夫だから。絶対口つけないから。ね。それだったら合法でしょ?」ふと、彼は本当に絶対に私にチュウしたりはしないんじゃないかという思いがよぎる。つまり彼の言う「合法」とは、お店のルール以上に、潔癖性気味の彼自身の理念に対してのものなのではないか。私は思い切ってさらに彼に近づく。彼も私に近づいてくる。彼の顔がすぐそこまで来ている。絶対に唇は触れない。
シャワーに向かう時は、お店のルールで女の子とお客さんは手をつなぐことになっている。私は彼に、ローションと彼の精液でベタベタになった手を差し出す。彼は躊躇する。風俗で遊びたい、つまり他人の生理と性的に直に向き合いたいという思いと、その生理を全面的に拒否したい思いが、彼のなかで絡み合う。しばらくすると彼は人差し指を1本たて、私に差し出しかえす。私は彼の指先を握る。彼のその遊びっぷりがひたすら素敵だ。

投稿者 nobodymag : 2005年5月10日 10:32