|
2.14
ジャンプ ラージヒル決勝
予選で50人に絞られた選手たちが1本目に臨む。
ここでまた30人に絞られる。日本人選手に限って言えば、ノーマルヒルのデジャヴュ。わずか2日間で戦術を変えられるわけはないだろうし、コンディショニングの方法も変えられない。だが、自らが置かれたシチュエイションを正確に把握していた日本人選手がいたろうか?「勝ちたい」「メダルが欲しい」気持ちは分かる。「前へ」という欲望は分かる。でもどうすればいいのか。誰もそれを理解していない。小野学がノーマルヒルの解説にときに漏らした言葉。
「名選手ほど適応性が低いんです。過去にうまくいった経験がある。その経験則に照らして、技術はあると思い込んでしまう。でも技術はルールの変更や新しい選手の出現で変わっていくもんです。V字ジャンプが始まった頃も、クラシカルでよかった選手は対応が遅れました」
元ナショナルチームのヘッドコーチの口から出た言葉は重い。チーム内の確執があったのかもしれない。2〜3年前のワールドカップではコーチ席の中央に陣取り、スタートの合図を無表情に送り続けたサングラスの無口な男──彼は選手時代には日本選手権のノーマルヒルを一度制しただけだった──が、ナショナルチームを頂点にまで押し上げた(頂点は、おそらくリリハンメルとその翌シーズン──つまり98〜00年だった──にあったというのは正確で、長野はすでに頂点を過ぎていた)。
小野の言葉は、おそらく葛西と原田に向けられているだろう。極度の前傾で距離を稼ごうとする葛西には、高度が高く空気抵抗の少ないソルトレイクの台はまったく向いていない。原田の「高い」ジャンプが、その方向性の難しさと風の影響を受けやすいことから安定しないのはすでに皆が知っていることだ。そして船木の筋トレが逆効果
だったことは今シーズンのワールドカップが物語っている。
3強は皆同じジャンプをするとノーマルヒルのときに書いた。
アマンやマリッシュが心がけているのは、踏切の強さと方向性だけであり、空中では何もしない。緩やかに遠くまでいく。一時期のシュミットの強さももう昔話だ。技術は更新される。方法は革新される。すべては変化のなかにある。葛西(4度目のオリンピック)、原田(4度目のオリンピック)、宮平(4年待った男)、そして(世界の)船木。このメンバーが変化の中に身を置くのではなく、停滞と安定の中にいることは誰にでも理解できるだろう。
7年前、19歳の船木が初出場でワールドカップを制したとき、誰もがその飛行曲線の低さに驚いた。もっと前、10代の葛西が、V字の間から頭が出てしまうほどの前傾で距離を稼ぐ姿に皆、驚いた。しかし、今、勝利を収めるのは、過度な前傾でも、地上すれすれの飛行曲線でも、ましてや高く強く踏み切ることでもない。この現実をバイツ・ヘッドコーチはどう受け止めているのだろう。
ヘッドコーチの役割には2つある。
ひとつはセレクショナーという役割。つまり誰を出場させるかということ。
もうひとつは出場させた選手を責任を持って上位の成績に送り込むことだ。
今はもう調子を落としているとしても山田を本戦に出場させ、渡部ら若手を集中的に鍛える時期に来ている。そして選手たちに自らの方法を信じさせ、良い成績に導くこと。それがコーチの職務だ。小野はそれに成功し、バイツはそれに失敗している。葛西はK120の台で110メートルで落下し、2本目に進めず、原田は高い「自分の」ジャンプを反復し、すでに一線級の力にないことを証明し、船木は見事な上半身の肉体の重さに落下していく。マリッシュやアマンは緩やかに高い姿勢を保ったまま永遠に落下を遅延させているように見える。
|