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2006年06月11日

6月10日 イングランド対パラグアイ  1-0

ドイツにも暑さがやってきたようだ。フランクフルトのスタジアムには夏の濃い影が落ちている。何十年かぶりで優勝候補に挙げられているイングランドの緒戦がパラグアイであることは面白い。堅守のチームに対してイングランドの「華麗な中盤」がどう機能するのか。

右にベッカム、左にジョー・コール、そして中央にランパードとジェラードを配した中盤は、どこのチームにも見劣りしない。ロングボールでトップに合わせる伝統のイングランドスタイルなど過去のものだ。これもまたモウリーニョ、ベニテス、そしてエリクソンといった外国人コーチの指導の賜だろう。

だがゲームはぼくらの予想に反して展開する。開始4分にベッカムのFKが相手ディフェンダーの頭に触れてゴールインし、肝心のディフェンスががたがたするパラグアイ。イングランドの一方的なポゼッションで、ゲームの緊張が一気に薄れていく。「華麗な中盤」どころか、誰も彼も、キーパーのロビンソンまでもロングボールでトップのクラウチの頭に合わせるばかり。オーウェンの走力も、ジェラードの両サイドへのロングパスも忘れられてしまう。皆、個人技に走り出す。ひどいのはジョー・コールだ。彼の左をアシュリー・コールが上がっても、一度たりともパスを出すことはない。敵陣に10メートルほどのところで「得意」のドリブルからフェイントを繰り出す始末。ボールは展開されない。ときおりランパードとベッカムがミドルを放つが、それらもゲームの停滞を破るものではない。そして前半終了。

後半は皆の動きが止まり、したがってパラグアイの攻勢。だが、パラグアイの攻勢もリオとテリーの前に何度もはね返されるだけ。エリクソンはたまらずオーウェンに代えてダニングを送り出すが、彼もまたアシュリー・コールとお語気が重なっている。フラットの4-4-2では、何よりも両サイドバックの上がりが重要なのに、冒頭の得点でイングランド選手の真剣さがすっかり失われてしまった。ランパードもジェラードも本来の力の10%も発揮していない。それにオーヴァーラップのないアシュリー・コールなど、ただの小柄なサイドバックだ。幸い破綻なくゲームが終わり、イングランドはなんとなく勝ち点3を手に入れ、エリクソンも「暑いから仕方がない」と言う始末。イングランドはまだチームの体をなしていない。

投稿者 nobodymag : 2006年06月11日 00:14