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juin 30, 2010

もっと速度を!

 眠い目を擦りながらスペイン対ポルトガル。もちろんこっちが真打ち! 日本対パラグアイが、その停滞とPK戦という不条理によって、フットボールの退屈と憂鬱を体現しているとすれば、こちらは、かつて見た素晴らしい何かを少しでも復興して欲しいというフットボールへの純粋な欲望だ。簡単に言えば、スペインどうした?ということ、もっとやれるはずだろ、ということ。
 前のゲームから、この日までの間、いろいろな戦評を読んでみると、スペインでは、セスク待望論(やはり!)が湧き起こっていることや、ヘスス・ナバスに執着するデルボスケの意図と08年ユーロのスペインは、まったく「思想」が異なるのだという至極まっとうな意見を読むことができた。フェルナンド・トーレスがまだ好調時に遠く及ばない事実も、これからのスペインにとって大きな問題になる。
 でゲームは? 結論から書けば、1-0という僅差での勝利だったとはいえスペインに復調の兆しがあるということ。前のゲームと同様にトーレスをワントップに置いたスペインは、左にビジャ、中央にチャビ、右になんとイニエスタを配し、その後ろにシャビ・アロンソとブスケツ。4-2-3-1。かなりトーレスにチャンスが来るが、外しまくる。まだまだ復活途上だ。だが、イニエスタという相方を得たチャビからの配球は極めてスムーズになった。イニエスタ=セルヒオ・ラモスという右サイドからの崩しが功を奏し始めると、空いた左サイドからビジャが侵入する。こぼれ球をシャビ・アロンソが拾い、両サイドに配球する。次第に右のカプテビラのアタックも見られるようになり、ミッドフィールドの広いスペースが創造され始める。
 対するポルトガルは、2年前のユーロよりも弱そう。クリロナという人材を使いあぐねている感じ。点差が開かなかったのは、トーレスの不調とリカルド・カルヴァーリョの頑張りの賜物。トーレスに全盛時のスペードと素早いポジショニングが再生すれば、3-0でスペインの圧勝というゲームだったろう。
 だが、もちろん、トーレスがまだ好調時に戻らないという以外にも問題はある。たとえば、これだけポゼッションできるのに、ボランチふたりはいらない。ブスケツの存在感は稀薄。シャビ・アロンソひとりで「球拾い」は十分だ。クワトロ・フゴーネスがまた見たい!シルバでもセスクでもいい。4-1-4-1の超アタッキング・フットボールでパラグアイをノックアウトする姿を見てみたい。そのために、もうひとつ解決すべき重要な要素がある。パススピード。まだぜんぜん遅いよ。もっと速度を!

投稿者 nobodymag : juin 30, 2010 06:04 PM