『ハッピーアワー』濱口竜介インタビュー
「エモーションを記録する」

ロカルノ国際映画祭にて最優秀女優賞および脚本スペシャルメンションを受賞、ナント三大映画祭にて準グランプリにあたる銀の気球賞および観客賞を受賞した濱口竜介監督作品『ハッピーアワー』。317分で描かれるのは4人の女性を中心とした神戸の街にいる人々が過ごす幸せであり辛くもあるゆったりとした時間である。恋愛、仕事、家族、人生のある時期に起きた人生の出来事のひとつひとつが丁寧に描かれていく。今回、その作劇の方法について、そして人々のエモーションを記録していくその演出方法について濱口竜介監督に伺った。

『ハッピーアワー』の公開に際してインタヴューの一部を先行公開いたします。なお1万5000字を超えるインタヴューの全文は12月下旬販売の「NOBODY」44号にて掲載予定です。


存在としての分厚さ

——『ハッピーアワー』を神戸で作ることになったいきさつについて教えてください。

濱口:2013年の9月から2014年の2月まで5カ月ほど、「即興ワークショッップ in Kobe」という『ハッピーアワー』制作の前段となるワークショップをデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で行いました。そこに、アーティスト・イン・レジデンスという形で呼んでいただいたのが神戸に来ることになったきっかけです。その準備のために、2013年の4月頃から神戸に住んでいます。

続き・・・

濱口竜介(はまぐち・りゅうすけ)

1978年、神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。その後も日韓共同製作『THE DEPTHS』(2010)が フィルメックスに出品、東日本大震災の被災者へのインタビューからなる『なみのおと』『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(2011~2013/共同監督:酒井耕)、4時間を越える長編『親密さ』(2012)、染谷将太を主演に迎えた『不気味なものの肌に触れる』を監督するなど、地域やジャンルをまたいだ精力的な制作活動を続けている。現在は神戸を拠点に活動中。

ハッピーアワー

30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人はなんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは。中学生の息子がいる桜子は、多忙な夫を支えながら家庭を守る平凡な暮らしにどこか寂しさを感じていた。編集者である夫をもつ芙美もまた、真に向き合うことのできないうわべだけ良好な夫婦関係に言い知れぬ不安を覚えていた。あかりはバツイチ独身の看護師。できの悪い後輩に手を焼きながら多忙な日々を過ごし、病院で知り合った男性からアプローチを受けるも今は恋愛をする気になれずにいる。

純の現状を思わぬ形で知った彼女たちの動揺は、いつしか自身の人生をも大きく動かすきっかけとなっていく。つかの間の慰めに4人は有馬温泉へ旅行に出かけ楽しい時を過ごすが、純の秘めた決意を3人は知る由もなかった。やがてくる長い夜に彼女たちは問いかける。
—私は本当になりたかった私なの?

出演:田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りら ほか
監督:濱口竜介
脚本:はたのこうぼう(濱口竜介、野原位、高橋知由)
撮影:北川喜雄
録音:松野泉
助監督:斗内秀和、高野徹
音楽:阿部海太郎
製作・配給:神戸ワークショップシネマプロジェクト
2015年/日本/317分/16:9/HD

©2015 神戸ワークショップシネマプロジェクト


2015年12月12日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!
2015年12月5日(土)、神戸元町映画館にて先行上映